2026-08

感想

静かな町の夕暮に(講談社)

「---今ね。校長室にお客だったの」「へえ」「私、ちょうど職員室に行ったら、捕まっちゃって、お茶出してくれ、って頼まれたんだ」と、同じ演劇部の友だちは、座り込んで、本格的に話し込む姿勢。仕方なくこっちも本格的に聞くことにする。「で、お茶持ってったら、話が耳に入って来たの。客ってねえ、映画のプロデューサーだったのよ」
感想

哀愁時代(角川書店)

課長は両手を握り合わせて、「本当に自殺したんですか?」「それを調べているんですよ」「というと---」「旅館には、遺書らしいものはありませんでした。女性はたいてい遺書を残すものですがね」「じゃ、事故ではないんですか」「それも考えました」と、刑事は肯いて、「しかし、どう見ても雪の山の中へ、ごく普通の服装で、自分から入って行ったとしか思えないんですよ」
感想

危険な相続人(角川書店)

「あと五分・・・・」と彼女は呟いた。さて---彼女と別れて、夢見心地のまま、赤いスポーツカーを走らせている彼氏・・・・。と、後ろでクラクションが鳴った。「何だよ・・・・」彼氏は、せっかく彼女とのラブシーンの甘い思い出に浸っているところを邪魔されて、渋い顔で、バックミラーに目をやった。
感想

乙女に捧げる犯罪(光文社)

ウーン、とその男が呻いて、目を覚ました。もちろん、すぐには自分を殺しに来た人間にも気付かない。やっと、誰かが自分を見下ろして立っていることに気付いて、目をパチクリさせる。「---誰だよ?」「起こしちまったか」と、彼は言った。「もう一度、ゆっくり眠れよ」銃口に気付いて、目を見開く。