【広告】スポンサーリンク |
ウーン、とその男が呻いて、目を覚ました。もちろん、すぐには自分を殺しに来た人間にも気付かない。やっと、誰かが自分を見下ろして立っていることに気付いて、目をパチクリさせる。「---誰だよ?」「起こしちまったか」と、彼は言った。「もう一度、ゆっくり眠れよ」銃口に気付いて、目を見開く。「待ってくれ・・・・。俺は---」引金を、二度引いた。弾丸は、男の額を撃ち抜いて、ほとんど同じ位置に当った。消音機などつけない。大体人間は、普通に生活していれば、隣の部屋でバン、と音がしても、それが銃声だとは考えないものである。大体、アパートの中では、どの部屋で音がしたか、聞き分けられるものではない。「おやすみ」と、言って、拳銃を布袋へしまい込む。簡単な仕事だった。---この男がなぜ殺されることになったのか、彼は知らない。大方誰かを裏切って、金をかすり取っていたかどうか、ということだろう。大した事のできそうな奴ではない。玄関へ下りて、靴をはく。ドアを開ける前に、念のため振り返った。手がかりを残しているわけもないのだが、習慣というものなのだろう。よし。---ドアを半分開けた時だった。ザーッ、と、トイレの水が流れる音がしたのだ。彼は立ちすくんだ。確かに、この部屋の中だ。誰か他にいたのだ!何てことだ!顔から血の気が引いた。もしこのまま帰っていたら、目撃者を残すことになったかもしれない。いや、ああして水を流したくらいだ。おそらく気付いていないのだろう。それなら、このまま出て行くべきだろうか?しかし、万が一、ということがある。もし誰かいるのなら、可哀そうだが、一緒に殺すしかない。ドアを閉め、もう一度部屋へ上ると、布袋から拳銃を取り出す。トイレのドアは、開いて来なかった。何か起こったことに気付いているのだろうか?中で息を殺しているのか?そうそうのんびり待ってはいられない。布袋を下に置くと、左手でトイレのドアを開ける。---ロックしていなかった。そして、中には意外なものがあった。彼は、しばらく、わけが分からずに、その少女を見つめていた。怯えた目が彼を見返す。十歳か、そこらの少女だった。少女には、ただじっと彼を見るしかない。猿ぐつわをかまされて、手足を縛り上げられて、便器に座らされていたからだ。・・・・銃口が上って、少女の顔へ向くと、少女は目をつぶって、横を向いた。疲れ切って、諦めてしまったのか、それとも、怖いと思うほどの余裕もないのだろうか。---白いブラウスと、赤いカーデガン、そしてチェックのスカート。白いソックス。少女らしいその服装が、彼の目に、焼き付いた。見逃すわけにはいかないのだ。勘弁しろよ。引金に指をかける。・・・一巻の終わりか?でもまだ、十三ページ目なのだ。こんなんで終わるわけがないのだ。どうなる??結構いい話でした?


コメント