ぼくが恋した吸血鬼(講談社)

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やっぱ、吸血鬼って、いるんですね。・・・・そう。---大丈夫。これで鍵さえ開いていれば・・・・。やっと玄関のドアまで来た。バケツを下に置き、ノブをつかんで、そっと回してみる。開いた!やった!ドアを半分開けて、彼女は、バケツを手に取った。その瞬間、目の前でドアが目に見えない糸で引かれたかのように、いきなり閉じた。カチャッ、と音がして、鍵が回る。何よ、これ!どうしたっていうの?「---人の家を訪ねた時は、挨拶ぐらいするもんだ」背中で、声がした。彼女は、そろそろと振り向いた。黒いマントを床に垂らして、その男は、立っていた。「違うかな?」と、男は続けた。「日本でも、礼儀というものは同じだろう」何か言わなきゃ、と彼女は思った。でも、言葉になるだろうか?声が出るかしら?「君は、ここの掃除をしてくれた人だね」と、その男は言って、ゆっくり彼女の方へ進んで来た。「そうです」と、彼女は言った。「そうか。---非常にきれいになった。ありがたい」「いえ・・・・。どういたしまして」「どういたしまして、か」と、男はくり返して、「その言い方も憶えておこう」彼女は、その男が近付いて来ると、その大きさに圧倒された。彼女だって大柄な方だが、その彼女が見上げるばかりの長身だ。「---暗いね」と、男が言った。「お互い、顔もよく見えない所では、話がしにくい」「はあ・・・・」すると、どこかでパッと火花が飛んで、屋敷の中のあちこちに、ロウソクが灯った。一体いつの間に?---掃除した時にはなかったのだ。「---これでいい」と、その男は満足げに、「これくらいの明るさが私は好きだ」「ええ・・・・」「私を見たまえ」彼女は、ゆっくりと顔を上げた。---思いがけず、若い顔だった。怪物のような顔を予想していた彼女は、一瞬拍子抜けがした。面長の、目が深く落ちくぼんだ、彫刻のような風貌、黒い髪、そして黒い瞳が、彼女を見下ろしていた。少なくとも、こうして見た限りでは、風格というか、気品といったものすら感じさせる容貌だった。年齢は分からない。いや、人間ならば、四十代か五十代そこそこということだろう。しかし・・・・。この男が、たった今、不動産の男を引き裂き、その血をすすっていたのだ!男は彼女の横に回った。自分の体が、彼女のに光が当たるのを遮っていたからだ。彼女の顔を、ロウソクのほのかな光が照らし出した。---長い沈黙があった。彼女は、その男が、大きく目を開いて、まるで信じがたいものを見るように、自分を見つめているのに気付いたのだった・・・・。やばー!どうなってしまうのでしょうか??

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