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◆三毛猫ホームズの名騎手
おー久々の『三毛猫ホームズ』だ。前作までは、ヨーロッパ旅行シリーズで、派手にやってましたが、今作は、日常生活に戻ってます?馬が、都会に出没して人を殺すのが、日常生活かって?男は駅を出ると、身震いした。風はないが、それだけに直接骨へしみ込んでくるような寒さ。バスはもうない。歩いて二十分ほどの道である。一緒に電車を降りた乗客たちも、駅を出ると、右へ左へ、散って行き、百メートルも歩くと、もう男は一人になっていた。一応、街灯というものはあって、真暗ではないが、男でも、夜中に一人で歩くのは少々ためらわれる寂しさである。ともかく、早く家について、風呂に入ろう。---カッ、カッ、カッ。何だか、固いものでも道を叩くような音が、坂の向こうから近付いて来た。なんだろう?まるで---そう、馬の蹄の音のようだが。「まさか」と、男は呟いて、笑った。こんな所を、馬が走っているわけはない。しかし、そうなると、何の音なのか---。カッ、カッ、カッ・・・・・・。今にも雪でも降り出しそうな鉛色の雲が低くたれ込めている。これでも昼間の一時なのだから・・・・。片山善太郎は、ため息をついたが、その息が白く、煙のように立ちのぼって、ますます寒さを実感させた。「そろそろ終わりかな・・・・・」と、片山刑事は呟いた。まあ、今日のこの重苦しい天気も、葬儀にふさわしいのかもしれない。特に、何者かに殺されて、犯人の手がかりがさっぱりつかめていない場合には・・・・・・。「でも・・・・。主人、少しノイローゼの気味があったんです、このところ。ですから・・・・」「よく心にとめておきますわ」「本当に・・・・。この間も、帰り道に馬に会ったとか言って---」「何に会ったんですって?」と、晴美は思わず訊き返していた。「馬です。動物の---」「馬が、この辺に?」「そんなこと、考えられませんわ。でも、主人は確かに馬に出会ったと、と・・・・」「---おっと!」と、声がして、片山刑事は、振り向いた。焼香を終えて座っていた客の一人が、急いで出て行こうとして、誰かにぶつかってしまったのだ。ホームズがいつの間にやらそばに来て、片山刑事の方を見上げている。どうだ?---片山刑事が目で訊く。いい線だよ。とホームズが、ウィンクで答えた。・・・相変わらず、ホームズがいないとだめなんですね、片山刑事。・・・・片山刑事が見回すと、少し離れて、三人の男が固まって、何やら話し込んでいるのが目に入った。「そんな---そんなことがあるわけないじゃないか!」「俺だって、そう思うけどな。しかし、そう話してたらしい」と、さっき出て行った男が言った。「面白いじゃないか」と、もう一人が笑った。「馬の幽霊か。足はあるのかな・・・・」さあ、片山刑事、どうする?
『シリーズ登場人物』
◆三毛猫ホームズの夜ふかし
「いやな世の中になったもんだ」・・・冒頭のセリフです。うそだ!昭和の時代は、天国でした。今ですよ、XXXハルスメントやらで、何もできなくなりました。「いやな世の中になったもんだ」なんですよ。・・・・ガラスを切って、テープを貼り付けて落ちないように外し、手を差し込んで、ロックを外す。中へ忍び込むのは、いとも容易だった。そうです、泥棒です。廊下は、小さな常夜灯が灯っている。しばらく息をひそめて様子をうかがったが、誰も起きている気配がない。泥棒は、廊下を進んでいった。ダイニングキッチン。---この辺の戸棚にたぶんいくらかの現金は用意しているはずだ。見当をつけた引出しを開けると封筒が入っている。中は---一万円札が二、三十枚。ニヤリ、と泥棒は笑った。いい感だ。他の部屋はどうしようか?これだけで引き上げるか。---少し迷った。しかし、調子に乗った時というのは、逃してはならない。もっと現金が置いてあるかもしれない。・・・・居間のドアは、少し開いたままになっている。泥棒は、そのドアへ手を伸ばした。と---いきなりドアが中から開いたのだ。さすがに泥棒も、声を上げそうになった。出て来たのは、十七。八の娘。しかし---妙だった。その娘は、目の前に立っている泥棒に、まるで気付かない様子なのだ。・・・・娘は、そのまま、静かに階段を上がって行ってしまった。泥棒は、ともかく居間の中に入ってみた。誰かが倒れている。・・・・頭が、血だまりの中にある。傍らには、包丁が落ちていた。やっちまった、泥棒さん?・・・・「私、泥棒の娘です。今、父は指名手配されています。それでも、同じように怒って下さいましたか」その娘の口調は、淡々として、却って片山たちの胸を打った。「当たり前だよ」と、片山刑事が言った。「そんなことが、何の関係があるんだい?」「ニャーオ」ホームズが優しく鳴いた。女の子は、顔を上げ、ホームズを見ると、ニッコリ笑った。「ありがとう!」と、女の子らしい明るい声で言うと、「少しお待ち下さい」ピョコンと頭を下げて、戻って行く。「---父親が指名手配ねえ」と、石津は首を振って、「でも、健気に頑張ってる。偉いですねえ」「おい石津、お前、泣いているのか」片山刑事が、びっくりして言った。「いいじゃないの。石津さんが、とても暖かい心の持主だってことの証拠よ」「ニャー」ホームズも、珍しく素直に誉めた。・・・冒頭の泥棒の娘が働くラーメン屋で、酔っ払いに絡まれた娘を、片山たちが助けたのだ。もちろんこの後、片山たちは、娘に力を貸していくことになるのである。
◆三毛猫ホームズの幽霊城主
城壁の頂上に上ると、強い風が吹きつけて、晴美はよろけた。嵐の夜。---雷鳴が大地を揺るがせ、風は猛獣のような唸り声を上げて、渦巻いている。青白い光が、サッと走ったと思うと、叩きつけるような雷鳴。晴美は頭を低くして、まるで嵐そのものから逃げ出そうとするかのように、城壁の上を、一歩、一歩、風に逆らって進んでいた。しかし、本当に晴美が逃げなくてはならないものが、今しも城壁へのはね蓋を上げて姿を見せたところだった。仮面をつけたその男は、黒いマントを風にはためかせながら、じりじりと晴美の背後に迫って行く。その仮面は、いかにもこの情景には不似合いな、にこやかに微笑む聖母マリアの顔で、それがいっそう不気味な印象を与えている。晴美は、背後に迫る殺意に、最後の瞬間になって気付いた。ハッと振り向いた時、仮面の男の手にあるナイフは、深々と晴美の胸に呑み込まれていたのだ。「おお・・・・」晴美はよろけて、城壁の隅---その下は垂直に数十メートルも落ち込んでいる---に手をつき、やっと踏み止まった。「あなたは---あなたは誰なの!」と、晴美は叫んだ。「分からないのか!」と、男が叫んだ。「分からないのか、私のことが!」男が仮面を投げ捨てる。晴美は、「アッ!」と、声を上げた。「---お兄さん!」晴美はよろけて、「どうして---どうしてなの!なぜ私を殺すの!」「お前は私のものだ!私、一人のものだ!誰にも渡すものか!」「お兄さん・・・・」「見も知らぬ男に、お前を渡すくらいなら、この手でお前を殺して、私も死ぬのだ!」そう叫んで、たった今晴美を刺したナイフで我が胸を刺し、そのまま崩れ落ちる。「お兄さん・・・・」晴美は、兄へと手をのばした。「私が愛したのは・・・・あなただけ・・・・」しかし、兄へと歩み寄る力は、既に残されていなかった。晴美はよろけ、風に、かよわい羽のようにあおられると、城壁を越えて、暗い深淵へと墜落して行った。雷が光り、雷鳴が轟き、そして素早く幕が下りた。・・・うん?なんだ?劇か?遂に一巻の終わりかと思ったのに?・・・・晴美が、ある劇団にいる高校時代からの友だちに頼まれて、劇に出たのだ。そして、この劇の演出を担当した女性が住む城に、出演者と共に、片山たち一行が、招待されるのだ。・・・出たー、城だ!絶対事件発生しますよね。どんな事件なんでしょうかね?
◆三毛猫ホームズと愛の花束
ここは、都心の貸しビルの一つ。その三階にある、〈Kブライダルセンター〉である。いわゆる結婚相談所だが、ただ相談に来た人に相手を捜すというだけでなく、積極的に独身の男性、女性にどんどん案内を出し、顔合わせのためのパーティや〈都内結婚式場巡りツアー〉、いい結婚相手は、学生時代からツバをつけておけ、というので、〈有名大学合同デート会〉・・・・。ともかく、「結婚相手を見付けるお手伝い」なんて上品なことを言っていては、大手の同業者に勝てない、というので、このセンターの社長のモットーは、「手っ取り早く、くっつけろ!」なのだった。・・・ふーん、結構派手にやってたんですね。今でも結婚相談所って、やっているのかな?と、調べたら、未だに結構流行っているみたいですね。でも、結婚しない若者が多くて、少子化問題やばいですよね。・・・・そのブライダルセンターに、脅迫状の手紙が届いた。〈貴社の仕事は、神聖なる愛を冒瀆する、恥じるべき行為です。ただちに中止すること。さもないと、神の怒りが下るでしょう〉だ。「これ、どうする?」女性社員が手紙を先輩の女性社員の方へ返して寄こす。「放っとくのよ。こんなのいちいち気にしていたら、やってけないわ」「でも・・・・」と、女性社員。「あなたは独り暮らしじゃないから、分かんないでしょうけどね」と、先輩は、その手紙を見直して、「夜中によくいたずら電話をかけて来る男がいるのよ。そんなのいちいち相手にしてられないでしょ。これも同じよ」「でも・・・・」「大丈夫よ」と微笑んで、「じゃ、いいわ。私のアパートに、刑事さんがいるの。とってもいい人だから、これ調べてもらうわ」と、手紙を封筒へ戻し、引出しを開けてハンドバックを取り出すと、その中へ封筒を入れた。・・・もちろんその刑事は、片山刑事だ。・・・・そして、その夜、後輩社員の方が、散弾銃で撃たれてしまうのだ。そして、ブライダルセンターの社長から、栗原警視に、今度行う集団お見合いパーティに、また犯人が現れるかもしれないのでと、護衛依頼が来たのだ。栗原警視は、「お前、それに出席しろ」と、もちろん片山刑事に、指示を出したのだ。「ついでにどうだ?妹さんとか、例の猫君とか」「猫の相手はいないと思いますが」と、片山刑事は言って、「それに---妹を出すとなると・・・・」「まずいか?」「いえ、当人は喜んで出るでしょう。ただ、問題は・・・・」・・・もちろん石津刑事のことだ。そして、結局、片山刑事、晴美、石津刑事、ホームズが、集団お見合いパーティに、出席するのですが、どうなりますやら?


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