天使と悪魔(角川書店)

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新シリーズの『天使と悪魔』だ。下界に下りて、人間と同じ高さで眺めて、世の中のことを見て来るようにと、天国から研修に来た天使と、地獄で、あんまり怠けていたので、地獄から叩き出された悪魔が、刑事に協力して、事件を解決していく話だ。・・・・やっとここまで辿り着いたのだ。思えば、長い道のりだった。と男はある感慨を抱いた。丸二年。---あたかも、赤道直下の砂漠を、水筒一つで横断しようというのにも似た、辛い道だった。しかし、今!やっと、ここまでやって来たのだ!エベレストの頂点をきわめたアルピニストもかくや、と思えるほどの感動に、男の心は打ち震えるのだった。「これがあなたの『マンション』なの?」と、彼女が言った。「普通のアパートじゃない」男は、必死で笑顔を作った。「そ、そうだね。でも一応マンションなんだ。ただ古いから---ということは、歴史があるんだ。由緒正しいマンションなんだ」俺は何を言ってるんだ?「でも、まあ、チャラチャラしてなくていいわね」「そ、そうだろう?やっぱり君には、こういう落ちついた雰囲気が良く似合うよ」「私、でも可愛い部屋の方が好きよ」と、彼女はマンションのロビーへ入りながら言った。「そりゃいいね。うん。僕も少し部屋の中を明るくしたいとは思ってたんだ」「うんと可愛くしちゃうわね。私だったら」彼女は、いたずらっぽく、「もしここに住むとしたらね」と、付け加えた。男の心臓は、飛び出さんばかりに高鳴った。・・・・男が、「やっとここまで辿り着いた」という感慨に耽っているのは、言うまでもなく、ここ二年付合って来た(というより、一方的に想いこがれて来た)彼女をやっと自分のマンションに連れて来ることに成功したからだ。・・・・「今、紅茶でもいれるからね」そそくさと、台所へ行く。「---ちょうどね、いい紅茶をもらったんだ。ロイヤルコペンハーゲンのね。君、紅茶が好きだから・・・・」「あら、本当?嬉しい」いいぞ。---順調だ。男が、大枚はたいて買って来た紅茶を入れて運んで行く。・・・・「---大変だったんでしょ」「何が?」「これだけ片付けて、お掃除するの」「まあね」と、男は笑って言った。「私がやってあげるはよ、今度から」男の心臓は、極限状態に近いテンポで、打ち始めた。「ほ、本当かい?」「ええ・・・・。私って結構家庭的な女なのよ」「そうだね。いや、そうだろうね」彼女は体を起こして、伸びをすると、「眠くなっちゃった・・・・」と言った。「ここ、余分な布団って、あるの?」「お、お布団?」男はもはや天にも昇る心地。やったーーーー!なんですが、ここで、冒頭の天使と悪魔が、この部屋に降って来て、おじゃんですわ。?そうです。この男、刑事なんです。ここから長い物語が、始まるのです。

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