世界は破滅を待っている(角川書店)

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◆コピールーム立入禁止
第一話は、うだつが上がらないサラリーマンの話しだ。サラリーマンは、三十一歳で、同年輩の同僚は何人か係長になっていたが、自分は平のままだ。自分は、勤め始めた頃から、サラリーマンに向いていないと思っていて、自分を追い抜いて行く後輩を、うらやましいとは思わないのだ。私もサラリーマンをやっていたが、こういう人をたくさん見てきて、気持ちは分かるんですがね。なんと、このサラリーマンは、会社の社長を兄の家から持ち出した散弾銃でぶっ飛ばそうと計画する。別に社長に恨みがあるわけでないが、自分がこうなったのは、社会全体が悪いのだと思っていて、その代表として社長をぶっ飛ばすというのだ。散々人生からいじめられつづけていて、人生に借りを返さなくてはだめだということなのだ。いつもは遅刻ギリギリに会社に駆け込むのに、この日は早起きして、出社した。やればできるのにね。そして時が来て、社長を狙って散弾銃をぶっぱなしたのであるが、ドジを踏んで外してしまう。こういうサラリーマンは、何をやっても駄目なのだ。会社の中は大騒ぎ、みんな部屋を出ていき、サラリーマン一人になり、自分の席に座るのだ。これに対し、散弾銃がなくなっていることに気づいて駆け付けた兄嫁と、唯一このサラリーマンの相手をしていた若い女子社員が説得し、会社を出ようとしたのですが・・・・、そうだよね、ポケットに入れた散弾が気になっていました。

【昭和】昼休み

◆善意の報酬
第二話は、恐ろしい話です。サラリーマンの男が会社からの帰り道に、公園に具合が悪そうな若い女性がいるのに気が付いた。通り過ごそうと思ったが、親切心からその女性に声をかけたのであるが、反応がない。しばらくすると、自転車に乗ったお巡りさんが来たので、呼び止めようとしたところ、女性がいきなり「襲われたんです!助けて!」と、お巡りさんに助けを求めたのだ。お巡りさんから犯人は?と聞かれたところ、なんと女性は「あの人です!あの人にやられたんです!」とサラリーマンを指差したのだ。サラリーマンは、一度逃げたのであるが、結局逮捕され、厳しい尋問に耐えきれず、罪を認めてしまう。そしてサラリーマンは、仮釈放されるのであるが、会社はクビだし、妻と子供は実家に帰り、独りぼっちになってしまったのだ。頼りの弁護士も、「罪を認めてしまった以上、裁判では無実を争うより、罪を素直に認めて、後悔している態度を示せば、初犯なんで軽く済む」とのアドバイスで、気力を失せてしまうのだ。しかたなくサラリーマンは、真実を自分で明らかにするのだと、嘘の訴えをした女性を監視し始めるのであるが、その女性にナイフで刺されてしまうのだ。親切心で声をかけただけなのに、こんな目に合うとは? 他人の事には無関心の今の世の中になってしまったのも、分かりますよね。

◆手土産に旨いものなし
第三話は、さみしい話でした。サラリーマンが出張から帰ったのであるが、会社へのお土産を買うのを忘れてしまった。ところが、「お土産、ごちそうさま」「三時の休みに配るようにしますわ。とってもおいしそうですね」なんて声をかけられたのだ。だれかのお土産を自分が買ってきたと勘違いをされているようだが、訂正ぜずに家に帰ったのだ。すると夕方に刑事が尋ねてきて、あのお土産に毒が仕込んであって、それを食べた社員が中毒で一人が死亡、何人かが重症であると聞かされる。そしてこのお土産は、サラリーマンが買ってきたものであるとのことで、警察に連れていかれるのだ。サラリーマンは、自分が買ったお土産でないと主張するのであるが、会社の社員の聞き込み内容を聞かされるのだ。「・・・給湯室に置いてあったんです。でもサラリーマンに『ごちそうさま』と言うと、『どういたしまして』って笑ってましたから」「表面は優しそうな人なんですけど、お腹の中じゃ何を考えているか分からない人ですね」「よく不満を漏らしていましたね。・・・よく課長や部長の悪口を・・・『あんな奴、死んじまえばいい』と言ってたこともあります」・・・・・。ひどいもんだ。いつも仲良くやっていた社員なのに、会社なんて、どうせ他人の集まりなんだ・・・・っていう話でした。さみしいですね。

【昭和】セクハラ

◆燃え尽きた罪
第四話は、少々太目でずんぐり型の体、寝ぼけたような顔で、女性にそうもてる方でないサラリーマンの男が、なんと会社一の美女から、三連休にドライブに誘われた話しだ。会社一の美女がですよ、こんな寝ぼけ顔を誘うはずがない。あやしい? その日の夜に彼女と食事をして、具体的なドライブの詳細を詰めることになったのだが、退社間際に四十ページの資料を二十部コピーするように命じられてしまう。仕方なく、コピーは業者にやらせようと、コピーの原紙を持って、食事に出かけたのである。夢のような食事が終わって、彼女を家に送って、のんきに口笛なんかを吹いていたのだが、コピーの原紙が無くなっていることに気付き、真っ青になるのだ。食事したレストランや、乗ったタクシー会社に問い合わせるのであるが、コピーの原資は出てこない。とりあえず、彼女とのドライブに出かけ、楽しむのであるが、気になって仕方ない。そこで、彼女が寝ついた隙に、車で会社に向かい、ビル荒らしに見せかけ、コピーした資料が盗まれたことにしたのである。連休が明けて会社に行くと、大騒ぎになっているのだが、なんと会社の課長の遺体が見つかるのだ。いったいどうなっているのだ? そして、寝ぼけ顔の男の恋の行方はいかに??

◆冷たい雨に打たれて
第五話は、女子大の寮で起きた殺人事件の話しだ。女子大の寮に二十二人の女子大生が暮らしている。一部屋に二人が原則だが、待遇が良く、アパートや下宿よりぐっと安上りなので、入居者はいつも順番待ちという状態らしい。いやー懐かしい、私も会社の寮に入っていました。この寮と同じで一部屋に二人で楽しかったのですが、男二人なのでひどい生活でしたよね。ここに寮で唯一の四年生の子がいるのだが、かなり親分ぶっていて、みんなに嫌われている。本人は、みんなに嫌われていることに気が付いていないので、たちが悪い。その四年生の部屋に、運悪い一年生が同部屋になり、四年生から小間使いのように、顎で使われているのだ。さらに、その一年生の恋人を四年生に横取りされたので、たまったものではない。その四年生が、寮の空き部屋で殺された。当然、相部屋の一年生が、重要参考人として、警察で取り調べを受けるのであるが、犯行を否認続けるのである。果たして、どうなるのでしょうか?

【昭和】布団乾燥機

◆充たされた駆落ち
第六話は、妻に逃げられた男と旦那に逃げられた女性の話だ。男の会社に中学生の娘から「ママ、スーツケースを持って、出ていったって」と電話があった。どうも近所の人に「しばらく留守にしますので」って言ったらしい。男としては根耳に水である。「ねえ、パパ警察に届けたら?」と言う娘に「そんなことできるか!」突っぱねていたが、娘の気持ちもわかります。なんたって、掃除、洗濯、食事の支度までやらされているからだ。そんなところに、「奥さんが、自分の主人と駆落ちしたかもしれない」と言う女性が尋ねてきた。女性の旦那さんも同じ日に居なくなり、色々調べていくと、どうも検査に行った病院で、旦那と奥さんが話をしていたらしいと突き止めたのだ。男は、女性と協力して妻と女性の旦那を探すことにしたのだが、なかなか手がかりがつかめない。すると今度は、「あなたが、奥さんを殺したと」通報があったと、刑事が尋ねてきたのだ。警察に連れていかれると、旦那がいなくなった女性も、同様の通報があったと連れて来れれていた。どういうことなのか? だれかに罠を仕掛けられたらしいのだが?

【昭和】家出人探し

◆世界は破滅を待っている
第七話は、恐ろしい話だ。なんと、世界が破滅されてしまうのだ、ある男に! ある出版社に勤める編集者の男が、別件で出席できない編集長に代わって、首相が開いた雑誌の懇親の集いに出席した。もちろん編集長の代理は許されないので、名札も編集長の名前のまま出席した。そして首相が出席者全員に握手をして回り、編集者の番になるのであるが、編集者の顔を見て、幽霊でも見るように首相の顔がこわばったのだ。編集者は、気になって色々考えるのであるが、思い当たらない。その三日後に、編集長が何者かにナイフで刺され殺されてしまう。そして、編集長の葬式を行うのであるが、その葬式に首相の秘書が出席し、編集者のことを聞いて行ったとのことだ。編集者は、編集長が殺されたのは、もしかしたら雑誌の懇親の集いに自分が出席したことに関係があるのではないかと、疑い始めるのだ。その疑い通りに、今度は編集者やその家族が危険な目にあって行く。そして遂に、五年前に首相から世界を破滅させる話を聞いたことを思い出すのであるが、時遅しで、妻と娘が誘拐され、編集者が首相官邸に呼び出されるのだ。編集者は、世界の破滅を防ぐことができるのか? まあ、昭和の時代から噂されていた世界の破滅の話である。未だ破滅に至っていないが、この瞬間に破滅するかもしれないという話しである。

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