サラリーマンよ悪意を抱け(新潮社)

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◆サラリーマン四銃士
いやーおもしろかった。やっぱり、サラリーマンものって一番共感できるんで、良いです。サラリーマン四銃士は、部長を、部下の四人が、殺害を企てる話である。まあ、サラリーマンの部下と上司の関係が、うまく行かないこともありますが、殺害まで考えるとは、相当な冷遇をうけていたんですね。幸いにして私は、四十三年間サラリーマンをやりましたが、ずーと良い上司に恵まれましたよ。四人は、社内の慰安旅行で部長が愛人宅に行くのを知り、帰り際を襲って、物取りの犯行にする計画を立てた。四人は、みんな別々に旅館を出て、愛人のマンション近くの公園に集合することにしたのだが、来たのは、まとめ役の係長一人だけで、他の三人はいくら待ってもやってこない。仕方なく、係長一人で殺害を実行しようとしたのだが、もう一つの別な計画が動いていたのだ。さて、どうなるか?

【昭和】タイピスト

◆沿線同盟
「駅からの道には街灯一つなく、雨が降ればぬかるみで歩くこともできん。夏は蚊の群れに悩まされ、冬はちょっとした雪で通行不能。それをここまで改善させるのに、わしらは一体何回役所へ足を運んだことか!何十回、いや何百回かもしれん!」「何もかも整ったところへ連中はやって来た。わしらの苦労など知りもせんのだ」って、これ良くわかります。私が、今住んでいるところも同じです。私のところは、道路排水組合があって、最初に住んだ人たちは、上記と同じことをして、組合を運営し、改善してきたとのことです。頭が下がります。でも、殺人はだめですよね。

【昭和】座布団 醤油

◆給料明細異状なし
経理部長が一目置き、給与の取扱いを任されている、経理部の社員の話だ。彼は、コンピューターの頭脳を持ち、「これは、彼の計算だよ」と言うと、みんな黙ってしまうくらい、正確なのだ。その彼が、月一度の大イベントの給料の袋詰めを行うのであるが、なんと一万円札が一枚足りなくなってしまうのだ。全部の給料袋を再確認する時間は無いので、自分の手持ちの一万円札で穴埋めをし、給料袋を皆に配ってしまうのだ。誰かの給料袋に一万円札が、一枚多く入ってしまっている。このことがばれると、彼の神話が崩れてしまう。そんな中、「あんたも間違えることがあるんだね」と声をかけられたのだ。さてどうする?

【昭和】時報 お茶くみ

◆雨の朝、窓際に死す
「窓際族」って何時から使われていたのか調べたら、丁度赤川次郎が小説を発表しだしたころらしい。「窓際族」って、悲しい言葉ですよね。ちなみに私は、定年間近は、窓から離れた席に座ってました。本作は、定年間近の窓際族のおじさんが、会社に来て直ぐに席で亡くなってしまうのだ。会社の社員たちは、ただ居眠りをしているだけに思い、窓際族のおじさんが、あんなことやこんなことをしたことにして、利用してしまうのだ。ひどい話であるが、死んだ人がそんなことできるわけなく、結局ばれるよね。こんなことに利用されるなんて、やっぱり窓際族って、悲しいね。

【昭和】セキュリティ対策

◆栄光からの脱出
むかし、部下が生意気なことをすると、「そんなことするなら、課長にするぞ!」と冗談で言ったものだ。部下は、「それだけは、止めてください」と冗談で言うのである。残業を沢山している部下は、課長になると給料が減ってしまうからである。働き方改革の今では、通用しない冗談である。本作は、ずーと平社員だった男が、課長に昇進する話だ。しかも、出世が約束されている、秘書課長にだ。まあ、裏があるのであるが、彼は、そんなことは知らない。罠にはめられそうになるのだが、彼の欲のない性格のおかげで、乗り切ってしまうにだ。やっぱり、欲は出さない方が良いですね。

◆われら、同胞たち
電車乗り込んできた男が、「会社へ・・・・・・連れて行って・・・・・・くれ・・・・・・」と言って、息を引き取ってしまったのである。居合わせた乗客が、死んだ男の願いをかなえてやろうと、この男を会社に運んでいく話である。何で会社へ行かなければならないのかは、分からない。やらなければならない仕事をするという、責任感からか? 会社で死ねば、業務上の死亡で、労災保険が家族に支払われるからなのか? ともかく会社に運んでやろうと、一致団結するのだ。何の得にもならず、下手をすれば犯罪で罰せられるかも知れないのに。さすが昭和だなーて感じです。今は、我関せずが蔓延る時代ですから。搬送は失敗で終わるのですが、運んだ人達は、みんな満足したようです。良かった。

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