さびしがり屋の死体(角川書店)

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◆さびしがり屋の死体
「もし彼が死ぬようなことがあったら、私も死ぬわ。彼のいない人生なんて、私には生きる価値がないもの」と普段から言っていた女性が、自殺した。当然、彼が死んだから、自殺したのであるが、なんと彼は生きているのだ。このからくりについて、自殺した女性の幼馴染の女性が、勤め先のクリニックの所長と一緒に、真相解明に向け動き出す。このクリニックでは、心理カウンセラーを行っていて、エリートや中高年の婦人たちの心理的な相談を受けている。簡単に言うと、お客さんの愚痴を聞いてやるのが仕事である。「いらっしゃい」「なるほど」「ではまた」の三つの言葉をかけただけで、ケロッとして帰る婦人などがいるのだ。これでお金がもらえるのであれば、楽な商売であるかな? 話を戻して。幼馴染の女性と所長が、真相を調べて行くと、二つの殺人事件が絡んでくる。法律的には問題があるが、昭和なんで、ゆるせる(?)結末となるのだ。

◆長き眠りの果てに
長男夫婦とその息子、次男夫婦とその娘、長女夫婦の八人が、次男の別荘に泊まりに来ていた。次男は、事業に成功を納め、かなりの資産家であった。しかしなんと、その夜に次男夫婦が殺されてしまうのだ。殺された部屋には、次男の娘が倒れていて、命に別状はなかったが、眠ったままとなってしまう。警察もマスコミも、目撃者としての娘の目覚めに注目しているのであるが、なかなか目覚めない。ようやく三ヶ月後に目覚めるのであるが、今度は記憶を失ってしまっていたのだ。娘の記憶は、戻るのか? まあ、悲しい結末になってしまいます。

◆死が二人を分かつまで
小さな地方銀行で女性行員による横領事件が発生し、女性行員が失踪した。行員による不正事件というのは、その銀行の信用を著しく損なうと言うことで、警察に届けずに、探偵社に女性行員の捜索を依頼したのだ。銀行内部で、もみ消しを図るとは、昭和の時代は、こういうことが許されていたのですね。どうせ、もみ消しなどできないのにね。その後、失踪した女性行員は、事故に合い亡くなってしまうのである。担当した探偵は、女性行員の事故死に疑問を持ち、真相を解明に走るのであるが、事は二転三転して行く。

◆できごと
いやー昭和の父兄って怖いですね。高校三年生の修学旅行で、女子生徒が暴行された事件が発生する。学校から、犯人の疑いをかけられた四人の生徒の父兄が集められ、親から子供に真相を聞くように依頼される。対策として、①女子生徒の父親を転勤させて、女子生徒を転校させようとする父兄。②疑いをかけられた、万年トップの生徒を犯人として、週刊誌に売り込こもうとする父兄。③週刊誌に売り込もうとしている父兄が生意気だと、学校に密告する父兄など、無茶苦茶だ。この事件を解決しようと頑張った、高校の先生が唯一の救いだった。

◆三人家族のための殺人学
「殺してやる!」「どうぞどうぞ。あなたに私が殺せるもんですか!」「俺にできないっていうのか?」「ええ、その前に私があなたを殺してるからね」と、冒頭の会話です。冗談で言っているわけではありません。なったって、この夫婦は、二人とも殺し屋なんですから。妻の方が、発作を起こして死んだように見せかける、殺しを行った。しかし、被害者が発見されたときは、包丁で刺された状態で発見されたのだ。心臓発作で亡くなる計画が、殺人事件へと発展してしまった。妻が、この真相を探って行き、真相を突き止めハッピーエンドかと思いきや、最後に驚きのどんでん返しが待っていた。殺し屋稼業も大変なのである。

【昭和】みなし児

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