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本作品は、ちょっと変わった本で、SF作家の横田順彌と赤川次郎が同じテーマでショートショートを書いたものを並べたもので、二人の違いが良くわかる物になっています。与えられたテーマは、「匂う」「探偵小説」「川端康成『雪国』」「それからの桃太郎」「怪談」「ギャンブラー」「タイムカード」「卒業」「音痴」「退届」「竜」「味」「1001」「魔法使い」「あとがき」の十五テーマだ。横田さんと赤川さんの対談も載っていて、それによると二人とも結構大変だったみたいですが、SF作家とミステリー作家の違いが出ていて面白かったです。たとえば最初のテーマの「匂う」では、横田さんは、西暦二〇〇五年の地球連邦科学省での話しで(今となっては、もう過ぎてしまってますが、当時としては未来の話です) 未来を予知する蠅を開発しているという、正にSFなのだ。それに対して赤川さんは、「今夜も下は豪華ね。ビーフシチューだわ。右隣は焼き魚、左はロールキャベツ」なーんて言っている奥さんが住む古いモルタル二階建てのアパートに、お金持ちの女性が引っ越してきた。何でこんなアパートに引っ越してきたのか? 正にミステリーなのだ。てな具合です。でもあまりにもショートショートすぎて、二百数十ページの本に、十五テーマ×二人=三十作品が納められていて、一作品平均七ページしかありません。あっという間に読んでしまって、はらはら、どきどきを感じる前に終わってしまうのだ。テーマに対して言いたいことは分かるのですが、じっくり読んで、読み終わって、感動に浸るような長編がやっぱりいいですかね。今は、赤川次郎作品の再読で忙しく、他の本を読む時間がないのですが、私はSFも大好きで昔よく読んでました。横田さんの作品を読んだ記憶はないのですが、せっかくなんで、時間ができたら横田さんの作品を読んみようかな。
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