いつもの寄り道(新潮社)

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知っている名前というのは、何となく目につくものである。それにしても、奥さんがそれに気付いたのは、ほとんど奇跡に近かった。何しろ、夕ご飯を食べながら、夕刊の芸能欄の記事を読みながら、かつTVの音声に耳を傾けるという状態だったのだから。・・・なるほどね?むかしから、『ながら族』いましたよね。今では、スマホで音楽を聞き、スマホを見ながら、食事をするのが、当たり前みたいですよね。・・・・「XXXXXXさん・・・・・・」XXXXXX?---どこかで聞いた名前ね。などと奥さんは考えていた。考えてはいたが、目はまだ新聞の方に向いていて、新作映画の紹介記事を読んでいた。ロバート・レットフォードかあ・・・・。もう大分トシ取ってるけど、やっぱいいわねえ。見に行っちゃおかな。何しろ、子供でもできたら、そうそう映画も見に行けなくなる。・・・ロバート・レットフォードね、懐かしい!いい俳優でしたね!調べたら、最近亡くなったみたいですね。・・・・「あら」しばらくして、奥さんは、やっと顔を上げた。気が付いたのだ。「XXXXXXって、主人の名だわ」・・・・・。「何かしら」と、奥さんはTVの方へ目をやったが、何しろたっぷり一分やそこらはたっていたから、もう次のニュースになってしまっている。まあ、XXXったって、そう珍しい姓じゃない。他の人のことかもしれないし・・・・。多少、不安はあったが、奥さんは、思い直して、夕食を食べてしまうことにした。・・・・・TVの方は、もうCMになっていた。そこへ電話が鳴り出す。「あら---」・・・・。電話は、ニュースを見た母からで、温泉町で旅館が焼け、焼け死んだ人の名前に、奥さんの旦那の名前が出たとのことだった。旦那は、出張中だが、行ったのは、温泉町でなく、まったく違う場所なので、大丈夫と、電話を切った。すると、また電話が鳴った。今度は、温泉町の警察からだ。どうも、本当に旦那が、焼け死んだらしいのだ。しかし、奥さんは、旦那は、死んだとは思えずに、探偵まがいのことをはじめるのだ。すると、なんと、脅迫、暴行、浮気、火事、乱闘、誘拐に、次々と見舞われるのだ。こんなに、踏んだり蹴ったりされたのに、この奥さんは、めげずに、敵に立ち向かっていくのだ。凄すぎーーーー!

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