名探偵はひとりぼっち(角川書店)

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◆名探偵はひとりぼっち
高校一年生の少年が駆け落ちをすることになった。おせっかいな友達に、色白でほっそりした、いつも少し悲しそうな目をした美人で、髪は流れるように肩に落ちている恋人がいるが、不治の病で、あと半年の命だと、今読んでいた本の内容を自分の事としてでっち上げた話をした。そして、どうせ助からないのなら、せめてそれまでの半年間だけでも、二人きりで暮らして、彼女を幸福にしてやりたいとまで言ってしまった。一週間ほどたってから、クラスの中の雰囲気が妙なことに気が付いた。クラスの連中が、何だか同情するような、というか、哀れむようなというか、病人でも眺めているような目で、自分を見ているのだ。そして、放課後に体育館の裏に来るように呼出しがあった。行ってみると、クラスの全員がいて、クラス委員から、カンパした七万円を渡された。少年と薄幸の彼女の恋を実らせてあげようと決議したとのことで「彼女と逃げるのよ!そしてほんの何日かの間でもいいから、彼女を幸せにしてあげて」とすすり泣きしている子もいるのだ。あんなでたらめを、みんな信用してしまったのだ。しかたなく、しばらく家出をすることにし、家を出ると、クラス委員とおせっかいな友達がいた、クラスの代表として、少年と彼女が無事に出発するのを見届けるの事である。適当にごまかそうと、とりあえず、上野駅に向かった。誰も来るはずもないのに、上野駅で待っているふりをしていたら、「ごめんね、遅くなって!」と声をかける少女がいた。見るとでっち上げた彼女とそっくりなのだ。そして少女からコインロッカーから荷物を持ってくるように言われた。渋っていると、少女がポケットから小さな拳銃をとりだしたのだ。やばい!でっち上げた話から、妙な事件に引きずり込まれてしまったのだ。こんなことってあるかね?まあ、少年の運命はいかに?ってことです。

◆学生時代
「昔は良かったよ」「本当だ」二人はうなずきあった。って、お前ら高校二年生だろ。おやじか? 二人は、卒業した中学校の校庭を見ての話だ。二人は放課後に校庭で遊んでいて、先生に早く帰れといつも怒鳴られていたのだ。ところがどうだ、放課後の校庭には、人の姿がほとんどないのだ。小学生ならいざ知らず、中学生って放課後校庭で遊んでいましたっけ? 部活、部活で遊ぶ暇ないか、帰宅部しかいなかったと記憶してますが?まあいいや。「塾や習い事で忙しいだろ」「時代が変わったのかな」って、たった二年で変わるか??(突っ込みどころが多いです) どうもこの中学校に女子トイレや更衣室にノゾキ魔が出るらしい。更衣室などでの出来事を当人に電話がかかってくるのだ。そのためみんな早く帰っているらしいのだ。そして、この高校二年生の二人が、名探偵とワトスン役で、ノゾキ魔を捕まえることにしたのだ。早速更衣室を調べると、部屋には明り取りの窓があるのだが、その先はプールでとてものぞける状態にない。また、部屋がL字型のため凸面鏡がついているのだ。ノゾキ魔は、遠くから望遠鏡などで、明り取りの窓を通じて、凸面鏡を見ているのだとふんで、場所の特定に入り、十四階建てのマンションを突き止めた。そしてマンションを監視して、ノゾキ魔の部屋を突き止めたのだ。やるね名探偵とワトスン役。しかしこのノゾキ魔は、色々な設備などを屈指し、相当苦労してノゾキを働いているのだが、昭和ですね。いまなら隠しカメラで簡単に(?)ノゾキができるらしいのですが。結局悲しい結末になってしまいました。

◆ぼくと私とあなたと君と
高校三年生の少年が、中学校からの腐れ縁の彼女に、予備校の模擬テストの代理を頼まれたのだ。これって犯罪だよね、それに代理でいい点取っても本人のためになるとは思えませんが。まあいいでしょう。ところがなんと、彼女の先輩のガールフレンドの代理と来た。つまり彼は、女の子の代理をするとのことだ。彼女が代理をすればいいようなもんであるが、彼女も同じ模擬テストを受けることになっていて、ダメとのことだ。結局キス一つに騙され、彼が女装して模擬テストの代理をすることになったのだ。模擬テストは、女装も気づかれず、順調に終わったが、気になることが一つあった。五十歳ぐらいのおっさんが教室に入ってきて、チョークケースを取り替えたのであるが、彼を見て幽霊でも見たように、息を飲んで、手にしたチョークケースを派手に落としたのである。模擬テストの帰りに、彼は彼女のおごりでラーメン屋に入った。そして、彼女が新聞を見ていて、アッと短く叫び声を上げたのだ。なんと新聞に模擬テストの代理をした本人、つまり彼女の先輩のガールフレンドが殺されたと乗っていたのである。殺された日に彼女の先輩が、ガールフレンドの家に行っていたため、容疑者として警察に手配された。今度は彼が、逃げている彼女の先輩を匿うことになるのだ。彼女の先輩は、確かにガールフレンドの家に行ったが、殺していないと主張する。大体そうだよね、殺していなければ、逃げずに警察に出頭すればいいのに。ん?そしたら物語が終わっちゃうね! お約束通り、彼と彼女が、先輩のガールフレンドを殺した真犯人捜しを始めるのである。手掛かりは?そうそう思い出した、チョークケースを派手に落としたおっさんがいたっけ。早速おっさんに会いに行くのであるが、どうなることやら??

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