マザコン刑事の事件簿(徳間書店)

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◆「若きウィリアム・テル」の悩み
マザコン(マザーコンプレックス:母親に対して青年が強い愛着・執着を持つ状態を指す)ね、何でこんなマザコン刑事なんか思いついたんでしょうか? 赤川次郎って、マザコンなんですかね? まあ、これから読んでいきますけど、私は、あまりマザコン好きでないです。さて、第一話は、会社社長の息子の大学生が、親から与えられたマンションで殺される話だ。殺された部屋には、大学生の恋人二人が来ていたのだ。三角関係のもつれですよね。マザコン刑事の大谷警部が、恋人二人を取り調べていると、マザコンママが登場します。なんと事件現場に、お弁当を持ってきたのだ。しかも、親子でお弁当を食べ始めるのである。「ママ、骨があったよ」「ほら、このおイモは努ちゃんの好物でしょ。アーンして」なんて、みんなの前で、やっている。勘弁してほしい。大谷警部の部下の、弓江刑事などは、あきれているかと思いきや、「お母様と仕事をするわけではありませんもの」などと、何とか踏ん張っている。そんな、こんなで、捜査が進んで行き、犯人を追いつめたのであるが、逃がしてしまう。そこえまた登場したのが、マザコンママで、犯人を合気道で、ひっくり返して、地面に叩きつけたのだ。めでたし、めでたしであるが、今後が心配になります。
『シリーズ登場人物』

【昭和】マイクロカセット

◆「罪と×」
第二話は、二年前に起きた母子家庭の母親殺しで、逮捕され服役中だった男が、無罪放免された話だ。新たなアリバイ証言が、出てきたためだ。この事件を洗い直すようにと、大谷警部と弓江刑事に指示が出た。新たなアリバイ証言をしたのは、無罪放免された男の友人で、事件直後に海外へ行き、二年間海外で過ごしていたため、事件のことは知らずに、帰国して事件のことを知ったというのだ。本当なの?あやしい。そうこうしていると、無罪放免された男の背中が、切りつけられる事件が発生する。傷は浅いが、どういうわけか、「×」と切りつけられている。無罪放免された男は、病院に入院するのであるが、病院から抜け出してしまう。行った先は、殺された母親の娘のところだ。いまさら何をするというのだ。このことに気付いた弓江刑事が、真相を解明するのである。弓江刑事って、なかなかやるが、その手助けを間接的にマザコンママが行っているのである。この二人、いいコンビかもしれない。

◆死体置き場の恋人たち
第三話は、死体置き場に置かれていた死体が、なんと生き返り、歩いてどこかに行ってしまった話だ。そんな馬鹿な?って話です。死体は、十八歳の女の子で、もともと心臓が悪く、誕生日のパーティーで興奮して死んだのだ。しかし、警察に「あれは殺人だ、毒を飲まされたんだ」との電話があり、警察で検視をすることになっていたのだ。女の子の両親は、事故で死んでいて、かなりの遺産があるが、その遺産は叔父と叔母が監理している。どうも遺産相続に絡んでの事件らしい。大谷警部と弓江刑事が、捜査を開始すると、今度は、叔父が死んでしまう。死んだはずの女の子を見た弾みで、死んでしまったらしい。さらに、死んだはずの女の子から電話があり、関係者が集められる。そこに立ち会った弓江刑事が殺されかかるのであるが、マザコンママが助けに登場するのである。マザコンママは、なんで現場にいたのだろう? どこでも出没しますよね。

【昭和】赤外線フィルム

◆いま一度の・・・・・・
第四話は、ひどい女の話です。女は、具合が悪くなったふりをして、介抱してくれた男を自分のマンションに送らせ、幻覚剤を飲ませて関係を持ち、それを8ミリフィルムに撮り、お金をゆするのだ。真面目な人間を騙すとは。私も真面目だから、気を付けなくては。そんな女が、殺された。当然だろう。直ぐに犯人が、自分がやったと申し出るのであるが、しかし、これがまた不思議な殺され方だ。青酸カリを飲まされ、拳銃で撃たれ、ナイフで刺されているのだ。三回も殺されたことになる。どういうことなのか? この謎に、大谷警部と弓江刑事が挑んでいくのだ。しかし、勤務時間中の昼間に、大谷警部と弓江刑事が、ラブホテルに行くのだ。仕事でなく、プライベートで。昭和って、こんなことが許されたんですかね? 後は、どうも、マザコンママと弓江刑事の仲が、良くなってきているみたいだ。

【昭和】 大岡越前

◆フィルムが殺した
第五話は、ある映画を見て来た人たちが、急に怒りっぽくなり、喧嘩や器物破損が起こってしまう話だ。ある人は、体がぶつかったと、怒りだし、相手の男を殴り喧嘩になり、相手の男に殺されてしまうのだ。普段は、至って穏やかな性格で、人と争うことがない人なのに。殺された男と一緒にいた奥さんが、旦那の行動に不信を抱き、何か原因があるのだと、警視庁捜査一課に相談に来たのだ。試しにと、大谷警部と弓江刑事がその映画を見に行った。当然、映画館にマザコンママが湧いて出る。休憩中に弓江刑事が、コーラを買いに行き運んでいる途中に、何者かに襲われてしまう。一連の事件に関係があるのか? そしてついに、大谷警部までが、暴れだしてしまうのだ。どうなってしまうのか? 最後に、またもや、マザコンママの合気道が、炸裂するのだ。

◆バブルの向こうの殺意
第六話は、マザコンママが、大谷警部の捜索願を出す話だ。すみません、間違いました。でも本当に、大谷警部の捜索願を出したんですよ。本話は、弓江刑事の大学の時の友達の男が、毎晩、「殺してやる・・・」との声が、窓の外から聞こえてノイローゼになりそうだと、相談を受けた話だ。弓江刑事が、男の部屋を調べると、窓の外の雨樋に穴が開いていて、そこから聞こえてくるのだと気が付く。男の部屋の上か下の階の部屋の誰かが、「殺してやる・・・」と、雨樋に穴を開け言っているのだ。男は、自分で各階の住民と話をしてみるということで、弓江刑事は引き上げるのだが、その夜に、本当に男が殺されてしまう。大谷警部と弓江刑事が、早速捜査を開始する。各階の住民に話を聞くとともに、雨樋を調べるのであるが、なんと各階とも雨樋に穴が開いているのだ。一体犯人は、誰なのか? 今度は、弓江刑事の合気道(?)が、炸裂するのだ。

◆独りぼっちの披露宴
第七話は、題名の通り、一人で披露宴を行うことになってしまった、男の話だ。結婚式当日に、男は「本当に僕は結婚するんでしょうか?」などと、訳の分からないことを言っている。それも仕方ない、なんてったって、これまで四回も結婚を決めていたのに、その都度色々な事情で、間際になって取りやめになっていたからだ。今回も、本当に結婚できるのかと、心配しているのだ。しかも、結婚相手が、男の務める会社一の美人ときているから、なおさらだ。しかし、その心配が的中してしまう。なんと、結婚相手が、新婦控室で殺されてしまったのだ。この結婚式によばれていた、弓江刑事が捜査にあたると、容疑者が、わんさと出てくる。結婚相手を養子にした義理の両親、元カレの会社の同僚、元カレのイラストレータとその家内。犯人は、一体誰なんだ。そういえば、弓江刑事が、大谷家の女中になったみたいです。

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