雨の夜、夜行列車に( 徳間書店)

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この『雨の夜、夜行列車に』は、面白かったです。三組の人たちが、夜行列車で、出かける話が、オムニバス形式で進む。一組目が、元大臣だった老人と付き人だ。「今日は午後から本降りになるとか、底冷えがするかも分かりませんよ。---ご旅行は少しのばされては?」「そうはいかん」元大臣は首を振った。「でも、悪い夢をご覧になったんでしょう?大切なお体ですもの、充分ご用心なさらないと・・・・」付き人の言葉は、この老人の胸を熱くした。「心配してくれてありがたいよ。しかし、政治家というやつは、自分一人の体ではない。どうにも動けないというのならともかく、動ける間は、予定を変えることは許されんのだ」・・・・「あ、もしもし。---元大臣の所の者でございますが。---どうも、いつもお世話になりまして。---はあ、実はどうしても今夜発つと申しておりまして。明日、そちらは・・・・」「まあ、会場はありますがね」と、元大臣の出身地の公民館の館長は、ため息をついて、「しかし、いつおいでいただいても、結局、同じ話ばかりなので・・・・」「ご迷惑は、よく承知しておりますが、そこを何とか・・・・。無理でしょうか」・・・要は、この元大臣は、認知症が進んでいて、地元の講演会を、勝手に開いてしまうのだ。困ったもんだ。・・・・二組目は、会社をクビになった男だ。クビになったことを家族に言えずに、何日も朝家を出て、夜家に帰るという、出勤のふりをしてきたたが、耐え切れず、死のうと決めて家を出た。そして、たまたま、元会社の同僚の女の子に出くわし、死のうとしているのを感づかれ、二人で、遠くに行って暮らそうと、夜行列車に向かうのだ。さらに、男の様子がおかしいのを心配になった、男の娘が、父が、夜行列車に乗ることを突き止め、娘も夜行列車に向かう。・・・・三組目は、アクセサリーショップに勤務する男だ。このアクセサリーショップは、裏で、覚醒剤の売買を行っていて、男が、この裏金に手をつけてしまった。男は、警察と、覚醒剤組織の両方から追われていている。男の妻は、警察に監視され、覚醒剤組織からも、付きまとわれているのだが、その手を逃れて、夜行列車で、男と逃亡しようと企むのだ。この三組の関係者、元大臣と付き人、死のうとした男とその同僚の女の子、そして男の娘、裏金に手を付けた男とその妻、男を追う警察と覚醒剤組織の面々が、夜九時東京発の夜行列車の駅のホームに集まるのであるが、どうなるのでしょうかね?夜行列車に乗れますかね?という話です。いやー、しかし、世の中みんな、苦労して生きているんだなが、良く分かりましたね。

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