若草色のポシェット(光文社)

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電話だ。こんな時間に?---杉原爽香は、当節の中学三年生としては、そう夜ふかしではなかった。しかし、夜十二時にベットに入ることはあまりない。特に今夜は土曜日である。一階で電話の鳴っているのが聞こえて、時計を見ると、十二時十五分ぐらい。こんな時間に誰がかけて来るんだ?爽香は、「勉強の邪魔して・・・・」とブツブツ言いながら、机を離れた。勉強ったって、本当はノートを広げているだけで、ラジカセでFMを聞いていたのだが---。・・・そうそう、私も最近ラジオを買って、FM聞いてます。理由は、話すと複雑で、面倒なんで、書きませんが、ラジオって、面白くて、中々いいもんですよね。radikoじゃなくて、本当のラジオ?って?そうなんです、これにも理由があるんですけど。・・・・廊下へ出て、両親の寝室の方を見ると、閉じたドア越しにも、父親の派手ないびきが聞こえてきて、「こりゃだめだ」と、呟く。・・・・「---はい」と、出たものの、何も言わない。切れたのかな?冗談じゃないよ、ここまで来させといで、「もしもし」と言って、もう切っちゃおうか、と思っていると---。「爽香?」囁くような声だったが、「久代!どこからかけているの?大丈夫なの?」水曜日に、爽香と別れてから、久代は家に帰らず、連絡もないというので、この二日ほど、学校では先生がてんやわんやだったのだ。「心配してた?ごめんね」と、久代は何だか力のない声で言った。「当り前でしょ。今---お宅?」「家には帰れないよ」「何言ってんの、お父さんもずっと仕事休んでお家にいるのよ」「パパが?そう・・・・」何だか---久代の言葉に、勢いがない。心配する爽香をいつもはねつけていた負けん気のところが。「今、どこ?」久代は、それには、ただ、「外」と答えて、「学校で会いたいな」・・・・「教室でね。分かった」「じゃあね。---ね、爽香」「何?」「私のポシェット、爽香にあげるね」久代はそう言って、電話を切ってしまった。・・・・教室の扉が、半分開いたままだった。もちろんそれがどういうわけじゃない。誰かが、帰る時にそのままにしておいたかもしれないし・・・・。でも---何か予感があったのだ。いやな予感が。・・・・机と机の間。そこに、久代は倒れていた。冷たい床の上にうつ伏せになって、横を向いていて、ちょうど爽香の方を見ているようだった。・・・・ポシェット。---若草色のポシェットが、放り投げるように、離れていた所に落ちていた。一体何があったのでしょうか?杉原爽香、結構面白かったです。続編があるみたいなので、読むの楽しみです。

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