昼下がりの恋人達(角川書店)

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◆愛妻物語
今ちょうどTVドラマでやっている「ウソ婚」の話である。ただし、妻の調達の仕方が、TVドラマと異なるのだが。本作では、旦那を誘拐し、監禁した上で、妻が待っている家に行き、その妻を自分の妻として振る舞えさせるのである。「ウソ婚」と同じように、犯人が本当に結婚しているのかを確かめるため、犯人の会社の同僚四人が、偵察隊として送り込まれて来る。当然飲み会が始まり、妻が酒やつまみを出して対応し、何とか切り抜けるのであるが、終電がなくなり、同僚四人が家に泊まることになるのだ。ウソ婚がばれずに、切り抜けることができるのか? さらに、監禁されているはずの旦那が、不穏な動きをし始めるのだ。なんでもそうだが、ウソをつくと、それを隠すために、またウソをつくの繰り返しになる。ウソは、駄目ですよ。

【昭和】気狂い

◆シルバーシートへの招待
シルバーシートって昭和の時代にあったっけ?ということで調べたら、1973年にできたらしいです。この小説が書かれたのは、1980年なんで、シルバーシートはありましたね。主人公が、引っ越して初出勤時、電車に乗り、シルバーシートしか空いていなかったので、座ろうとしたら、「ああっつ!」という声が起き、全乗客の視線が自分に集中している。乗客は、非難の目でなく、息を呑んでいるのだ。どうも、このシルバーシートに座ると、良くないことが起きるらしい。そして、それを逆手に取った、事故が発生する。私もそろそろシルバーシートに座れる年代になりましたが、シルバーシート絶対に座りません。

◆真夜中の悲鳴
真夜中の悲鳴は、その題名通り、真夜中の団地に悲鳴が響き渡り、それを聞いた元刑事のおじさんが、近所の人と三人で、外の様子を見に行く話だ。元刑事のおじさんの責任感に、残りの二人が引っ張り回されるのだ。当然行き過ぎた行動で、生録マニアの若者を誤って気絶させてしまう。この時、「三人で一致した行動を取らなくては・・・・」「どういう風に?」「この男が気が付かないうちに逃げるんです」と言って、三人で逃げてしまうのだ。元刑事の責任感はどこに行ったのだ? 疲れた三人が、自宅に戻って来ると、そこには・・・・ていう落ちです。

【昭和】警棒

◆五分間の殺意
もうすぐ定年退職を向かえる、サラリーマンの話である。もう社の第一線から名目だけの閑職に移されたが、毎日会社に出社している。毎日頑張って出社しているのは、普通電車から急行電車に乗り換える駅で、天使のような女子高生と毎日話ができるからである。ところが、たまたま歩いていた連れ込み宿の並ぶ一角で、天使のような女子高生を見かけてしまうのである。もちろん男性と、宿から出てきたのだ。毎日の楽しみが崩れてしまった。さあこの後、どうなってしまうのでしょか?

◆一杯のコーヒーから
コーヒーって奥が深いですね。種類も沢山あるし、飲み方だって、ブラック派・砂糖派・ミルク派、砂糖派だって、スプーン1杯派・2杯派・・・・。私は、粉コーヒーと粉ミルクと砂糖がまとめて一本に入ったスティック派です。簡単で良いですよ。話を戻して。本作は、教授の年の離れた若い妻が、喫茶店で男と合っていたのを目撃した知り合いの話から、妻が合っていた男は大学時代からの友人三人の内のだれかで、コーヒーに砂糖を3杯入れていたことを突き止める。教授は、自宅に大学時代からの友人三人を招き、コーヒーをごちそうするという話です。

◆ノスタルジア
若い愛人ができて、その愛人から奥さんと離婚するように迫られ、離婚を有利にするために、探偵社に奥さんとの浮気をでっちあげるように依頼するのである。自分の浮気を棚に上げ、ひどい話である。探偵社も探偵社だ、こんな依頼を受けるとは。この仕事を指示された探偵は、その奥さんが幼馴染と知り、戸惑うのだが、これは仕事と割り切るのだ。仕事は順調に進み、成功するのだが、ちょっとややこしいことになっていく。ノスタルジアに浸る話である。

◆昼下がりの恋人たち
いやー良い話でした、最初はどうなることかと思いましたが。近々結婚する二人が、家の購入で郊外に出向いた帰りの電車で、具合が悪くなった老人を助けたお礼に、老人から遺産として、五千万円を頂いた。宝くじに当たったようなものだ。(宝くじの最高当選金が一億円を超えたのは、平成になってからです。)お約束通り、会社を止め、妙な投資に手を出し、一年後に借金を背負うことになる。もう無理なことは承知で、叔父さんの所に金を借りに電車に乗る。するとまた電車で、具合が悪くなった老人に出会うのだ。同じことは、繰り返すのか?の話です。みなさん、具合が悪そうな老人を見たら助けましょう。

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