一日だけの殺し屋(角川書店)

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◆闇の足音
こういう男っているんだよね。十六でぐれて家を飛び出し、スナックやバーやらで働いたこともあるが、長続きはしない。今はその日暮らし。十月もそろそろ末、風は涼しいよりもむしろ冷たくさえ感じられる。こうなると、でかいことをやらなければと、焦りだす。でかいことと言っても、思いつくのは、ひったくり程度だ。いざ実行してもうまく行かず、警察から追われることになる。何をやってもうまく行かない。こんなさみしく、みじめな短い人生を終えてしまうのだ。今でも、闇サイトに応募し強盗したなどとニュースでやっている。同じようなものなのか? 今回の男は、最後に優しい女性に出会い、少しではあるが、心を休めたので、なぐさめにはなったのだが?

◆探偵物語
探偵物語を読みました。何かおかしい。私が知っている探偵物語と、色々違いがあるのだ。内容的には、お金持ちのお嬢さんがアメリカに旅立つ前の数日間を、探偵が監視・護衛する内容で合っているのだが。たしか、事件が発生したはずなのだが、お嬢さんと探偵のデータまがいで終わってしまった。探偵物語って、小説、映画、テレビドラマなど色々あるので、こんがらがってしまって、良くわからなくなってきたのかもしれない。まあとにかく、くたびれたおじさんが、金持のお嬢さんに気に入られるのは、面白くない話である。

◆脱出順位
正に、『タワーリング・インフェルノ』である。『タワーリング・インフェルノ』は、私の三大好き映画の一つである。マックイーンとニューマン、いいですね、懐かしい。こういう災害時は、大体みんなパニックになるのですが、中には、この主人公みたいに冷静に対応する人がいるんですよね。社長も素晴らしい、大体はこういう時は権力を振りかざすのですが、責任者としてしっかり振る舞っています。それにしても、コック見習いは、どうなっているんだ。「知らねえ・・・・・。知らねえぞ・・・・・俺は知らねえ!」って、逃げるとは? 信じられない!

◆共同執筆
小説を書くのが好きだったサラリーマン二人が、共同執筆し成功を納め、作家になる話である。赤川次郎もサラリーマンから作家になっているので、話の内容の真実味が高い。共同執筆の一人が、もう一人の行動に疑念を抱き、共同執筆解散か?に向かって話が進む。やっぱり、最初はうまく行ってても、何年かすれば、互いに亀裂が入ってくるのだろうと思いきや、まったくの勘違いで、笑い話となる。一つだけ、原稿が差し替わっていたところが、良くわからなかった。

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◆特別休暇
営業マンが、三日間の特別休暇が与えられた。休暇なんか取ったことが無いので、三日間どう過ごしてよいか分からず、苦労するのである。自分がいないと仕事が回らないので、会社から家に電話来ると思っていたが、一向に来ず、さみしい思いをする。また、休暇後に会社に行ったら自分の席がなくなっていたとの話を聞いて、心配になってきて、サンダル履きのまま会社に向かうのだ。まあ、サラリーマンなんてっての話です。

◆高慢な死体
TV映画の試写会で、主演しているスターが殺される話だ。このスターに関係を持っていた、監督・プロジューサー・若手俳優が、容疑者として取り調べを受ける。やっぱり、スターになるには、これらの人達と関係を持たないと駄目なものなんですかね。試写の上映中に殺されたので、だれがどのように殺害したのかが鍵となる。そのトリックを、ふとしたことから思いついたシナリオライターにより、事件は解決するのだが、犯人は意外な人物であった。

◆消えたフィルム
TVの刑事物の番組で、殺し屋から追いつめられてた彼女が、橋から十メートルも下の流れへと身を躍らせるシーンを取ったフィルムが無くなった。さらに、このシーンを取ったロケに「お手伝いをしに行く」と言って、出かけた娘の遺体が、この川の下流で見つかる事件も発生する。この二つの事件に関連性はあるのか? これもまた、ふとしたことから気がついたシナリオライターにより、事件は解決するのだ。話は代わるが、私は、バンジージャンプをやったことがあります。気持ちいいーー。

◆一日だけの殺し屋
いやー面白かった。九州から、社運をかけた商談で、東京に来た営業課長と、殺し屋の顔が似ているせいで、間違われてしまい、営業課長が、ある人物を殺さなければならなくなる話です。殺し屋も殺し屋で、会社の東京駐在の社員から間違われて、商談先の重役の食事会に引っ張り出されたりするのだ。互いにうまく行くはずもないのだが、互いに今の状況を、楽しんでいるかのようである。殺しの方は、結果オーライとなるのだが、社運を賭けた商談は、どうなったのか? しかし本当に、この二人似ているらしい、営業課長の奥さんが、殺し屋を、旦那と見間違えるくらいなのだ。

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