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三毛猫ホームズのプリマドンナ(角川書店)

いやな予感がしたのである。「大体だな---」片山義太郎は言った。「人を選ぶってことを知らないんだ、うちの課長は。お前だって、そう思うだろう?ともかく、面倒な仕事があると、みんな俺に押し付けりゃいいと思っている」すっかりむくれている。片山刑事は続けて、「そりゃ、課長が俺のことを嫌っているとは思わないさ。
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殺人を呼んだ本(双葉社)

〈野々宮図書館---誰でも自由にお入り下さい〉〈入るな!立入禁止〉二枚の、相反する札の前で、彼女はどうしていいか分からず、しばらく立ったままだった。・・・・「失礼します」と、声を出してみた。「どなたかいらっしゃいますか」大声を出したつもりが、実際は蚊の鳴くような---というほどなくても、
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ぼくが恋した吸血鬼(講談社)

やっぱ、吸血鬼って、いるんですね。・・・・そう。---大丈夫。これで鍵さえ開いていれば・・・・。やっと玄関のドアまで来た。バケツを下に置き、ノブをつかんで、そっと回してみる。開いた!やった!ドアを半分開けて、彼女は、バケツを手に取った。その瞬間、目の前でドアが目に見えない糸で引かれたかのように、いきなり閉じた。
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二階の沈黙(角川書店)

あなた・・・・。一人息子・・・・。三人の生活を、何とかして取り戻さなくては。そのためには---他に方法はない。覚悟を決めていた。奥さんは台所へ行って、肉切り包丁を取り出した、先が尖って、切れ味も鋭い。充分だろう。念のため、少し刃先を研いだ。それを右手に持って、ゆっくりと階段の下へ行き、二階を見上げる。
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静かな町の夕暮に(講談社)

「---今ね。校長室にお客だったの」「へえ」「私、ちょうど職員室に行ったら、捕まっちゃって、お茶出してくれ、って頼まれたんだ」と、同じ演劇部の友だちは、座り込んで、本格的に話し込む姿勢。仕方なくこっちも本格的に聞くことにする。「で、お茶持ってったら、話が耳に入って来たの。客ってねえ、映画のプロデューサーだったのよ」
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哀愁時代(角川書店)

課長は両手を握り合わせて、「本当に自殺したんですか?」「それを調べているんですよ」「というと---」「旅館には、遺書らしいものはありませんでした。女性はたいてい遺書を残すものですがね」「じゃ、事故ではないんですか」「それも考えました」と、刑事は肯いて、「しかし、どう見ても雪の山の中へ、ごく普通の服装で、自分から入って行ったとしか思えないんですよ」
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危険な相続人(角川書店)

「あと五分・・・・」と彼女は呟いた。さて---彼女と別れて、夢見心地のまま、赤いスポーツカーを走らせている彼氏・・・・。と、後ろでクラクションが鳴った。「何だよ・・・・」彼氏は、せっかく彼女とのラブシーンの甘い思い出に浸っているところを邪魔されて、渋い顔で、バックミラーに目をやった。
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乙女に捧げる犯罪(光文社)

ウーン、とその男が呻いて、目を覚ました。もちろん、すぐには自分を殺しに来た人間にも気付かない。やっと、誰かが自分を見下ろして立っていることに気付いて、目をパチクリさせる。「---誰だよ?」「起こしちまったか」と、彼は言った。「もう一度、ゆっくり眠れよ」銃口に気付いて、目を見開く。
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万有引力の殺意(光文社)

「何か音がしたよ」と、娘が言った。「音?」「何か落ちたみたい」「何が落ちたっていうの?」「知らない。でも---」道が曲がって、エレベーターホールに入る口が目に入った。「---まあ」母親が足を止めた。「あれだよ、今の音」---男が、うつ伏せに倒れていた。ちょうど、建物から道へと足を踏み出したところらしく見えた。
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禁じられたソナタ(小学館)

先ずは、本の末尾にあった『解説』の言葉を借ります。〈『禁じられたソナタ』は、・・・・赤川氏の持ち味がよく生かされたホラー・ストーリーの秀作である。読者のなかには、ホラー・ストーリーの「ホラー」と、ホラ話やホラ吹きの「ホラ」を混同している人もあるようだが、この二つは、本来まったく別の言葉である。