こちら、団地探偵局(角川書店)

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◆見知らぬ主婦の事件
こちら、団地探偵局は、郊外の山を切り拓いた大きな団地に住む主婦が始めた、非公式な私立探偵の話だ。私立探偵といっても、団地で起きたちょっとした事件や謎を、低料金で引き受けるもので、暇つぶしにやっている程度である。この第一話は、私立探偵の並子と高校、大学と一緒の親友の政子が出会うところから始まる。互いにこの団地に住んでいることを知らずにいて、ばったり出会うのだ。そして、退屈病に取りつかれていた政子が、並子の助手になる。今回の依頼は、政子が疑問に思っていた、向かいの棟に住んでいるお金持ちの老人の若妻の調査だ。気難しく変人と言われている老人が一人で住んでいたのであるが、若い娘と結婚したらしいのだ。もちろん財産目当ての結婚であると噂されている。政子は、その若妻と知り合いになったのであるが、いかにも幸せな若妻の印象で、財産目当てに見えないのだ。ところがある日を境に若妻の印象が全く違って、さらに昨日手を怪我したのに、翌日に治っているのを見て、若妻が入れ代わったのではないかと疑いを持ったのだ。並子と一緒に調査を開始すると、お金持ちの老人が倒れて入院するのだ。並子が、入院している老人に会うと、老人は、「あれは・・・違う」「妻じゃ・・・ない」とつぶやくのだ。警察の調べで、確かに若妻には一卵性双生児の姉がいることが判明する。やはり若妻が入れ代わったのか? そしてその目的は? この謎に主婦探偵が挑むのだ。
『シリーズ登場人物』

◆救急車愛好家の事件
第二話は、誰かの嫌がらせで、勝手に救急車を手配される話だ。かなり高そうな背広を着た一流企業のビジネスマンといった男が、並子を訪ねてきた。男には高校生の娘がいて、ある日の夜中に救急車が棟の下に止まったと娘に起こされた。誰のところに来たのだろうと心配していると、玄関のチャイムが、あわただしく鳴ったのだ。ドアを開けると案の定、救急隊がいて、「家族が足を骨折したので、すぐ来てくれ」との通報で来たとのことだ。質の悪いいたずらとして、救急隊に帰ってもらったのであるが、妻に聞くと昨日の昼間にも救急隊が来たとのことだ。さらに、それ以降毎晩救急車が来るようになり、ご近所から、わざと救急車を呼んでいるのではないかなど言われるようになったとのことで、調査依頼に来たのだ。まあ、救急車が近所に来ると、うちの奥さんもいつも見に行きます。これが毎晩となると確かに困りますよね。早速助手の政子が、聞き込みに行くと、男も奥さんも評判が良く、救急車のことも、そんなに文句を言う人はほとんどいないが、ただ一人だけ「自業自得よ」と言った奥さんがいて、救急車のことを年中文句を言っているとのことだ。そして、並子の家で政子が留守番をしていると、依頼人の男の奥さんが訪ねてきて、つい「自業自得よ」と言った奥さんのことを話してしまうのだ。さあ大変、依頼人の男と奥さんは、「自業自得よ」と言った奥さんが救急車を呼んでいるのだと決めつけ、旦那同士の喧嘩や奥さん同士の喧嘩が始まってしまうのだ。政子はこの責任をどうとるのでしょうか? そして真実は如何に?

◆素人天文学者の事件
第三話は、毎日ベランダに天体望遠鏡を持ち出して、天体観測している旦那の話です。私も星を見るのが大好きです。田舎に行った時の天の川がきれいで忘れられないです。今も星を見たいのですが、星が出る前に酔っ払って寝ちゃうので見れないですね。そんな天体好きの旦那の奥さんが、並子を訪ねてきた。結婚して一年になるが、旦那が毎日天体観測に夢中で、相手にしてくれないのだ。旦那は、天体観測しているときに、妻がベランダに出てくることを嫌がっていた。しかし妻は、旦那が一体どんな顔で望遠鏡を覗いているのか確かめたくて、こっそり覗いたのだ。旦那は熱心に望遠鏡を覗いていたのだが、望遠鏡は空を向いておらず、ほぼ水平だったとのことだ。そして、旦那を覗いている妻に気が付き、「何の用だ!」と怒鳴られてしまったのだ。めったに怒らなく、怒っても、黙ってふくれてしまう旦那が、怒鳴ったのだ。そこで、旦那が一体何を見ているのか調査依頼に来たのだ。望遠鏡が水平って、他の棟の部屋を見ているのに決まっているじゃないの? いまさら何を調べろと言うのでしょうか? まあ、とりあえず並子は依頼を引き受けたのだ。そしたら案の定、交番に五・六人の主婦が来て、旦那が人の部屋を覗いていると苦情が来てしまう。さらに妻にも同じように苦情が主婦たちから上がるのだ。旦那に相談しても「放っておけ」と言うだけで、頼んでも天体観測を止めないのだ。妻は遂に、アルコールに溺れていくことになるのだ。ひどい旦那。並子と政子は一体何をやっているんだ?

◆寂しいクリスマスの事件
第四話は、政子が新宿で男に「ひまかい?」と声をかけられた話だ。「君は女子大生?」「いや、ちょっと髪型をいじれば、女子大生で通用するよ。若々しいし、肌もつやがある」と来たもんだ。なんのことはない、売春のお誘いなのだ。もちろん、丁重にお断りしたのだが。その三日後、並子と政子、そして竜介と三人でスーパーマーケットに買い物に行き、知り合いの奥さんから旦那を紹介されたのであるが、なんとその旦那は、政子に売春に誘った男ではないか。旦那は、政子に気が付かずに済んだのであるが。そんなことがあってから、今度は売春に誘った男の奥さんが、並子を尋ねてきた。旦那は、一流企業の課長をやっていたのであるが、旦那の同僚の奥さんから、旦那は課長から営業の平社員に左遷されたと聞かされたのだ。しかし、給料は今まで通りの額を持って帰ってくるとのことで、その補充しているお金の出所の調査して欲しいとのことだ。旦那は、売春がらみでお金を稼いでいるのはうすうす分かっているのであるが、並子は調査を受けていまう。奥さんと旦那が破局しないように、何とかしようとの配慮からだ。早速、政子が旦那の尾行を始めたが、怪しい動きは無いのだ。政子が尾行に飽きてきた三日目に、旦那が人妻らしき女性を恐喝しているのではないかとの場面に出くわすのだ。れっきとした犯罪じゃん。やばー、いったい並子は、この夫婦の破局を防ぐことができるのであろうか??

◆優しいセールスマンの事件
第五話は、優しいセールスマンの話だ。(おい、題名そのまんまじゃん!) 団地の主婦の部屋に若いセールスマンがやってきた。投資のセールスに来たのだ。いつも思うんですけど、投資のセールスって良く分からないですよね。なんでそんな仕事があるのか? そんなに儲かる投資があるのなら、私なら人に教えたりせずに、自分でこっそり投資して儲けますがね。それはさておき、このセールスマン、主婦が「あの、すいませんけど、ちょっと出かけますので---」と逃げると、「そうですか。では今日はこれで---」とあっさり帰るのだ。普通セールスってしつこく食い下がりますよね。ただし、「また明日、この時間にでもお伺いしてよろしいでしょうか?」ときた。主婦は迷ったが「ええ・・・まあ・・・」と答えたのだ。しかし翌日は、子供の小学校へ行くことになっていたのだ。翌日小学校から戻ると、そのセールスマンが待っていた。しかたなく話を聞こうとい部屋に上げようとすると、遅い時間なのでと、パンフレットを置いただけで帰っていったのだ。しつこくなく、押しつけがましくもなく、すすめても上がろうとしない。珍しいセールスマンだと主婦は感心したのだ。いつもは見もせず捨ててしまうパンフレットだが、パンフレットを見て、夫に相談したりするのだ。もちろん夫は「金を捨てるようなもんだ」と一蹴。セールスマンに、夫の話をすると、「いや、仕方ありません」とあっさり引き下がったのだ。優しいセールスマン? 違うじゃん!うまい手ですね、これに騙され、主婦は深みに嵌って行くのである。ごめんなさいね、政子と並子の活躍まで辿り着けませんでした。

◆身近なスターの事件
第六話は、政子たちが住んでいる団地がドラマの舞台になる話だ。団地の人妻が、過去の恋人と再開して、そこで殺人事件が起る話らしい。政子の部屋も撮影に使われ謝礼が出たらしく、並子と竜介に昼食をご馳走したのだ。団地のスーパーマーケットに行くと、レジの上に、スーパーマーケットの店長とドラマの主人公役の女優が映った大きなパネルが掲げられていた。このスーパーマーケットもドラマの撮影に使われたのだ。そして、このスーパーマーケットで店長が何者かに殺害される事件が発生する。殺人事件じゃ、並子たちの探偵業の範疇を超えているとして、警察の捜査を見守っていたのだが、一週間たって、一人の主婦が並子を訪ねてきた。ドラマの人妻の住む部屋として撮影に部屋を提供した主婦だ。店長が殺された凶器の包丁が公開されたのだが、その凶器の包丁が、主婦の家にあったものとよく似ていて、ドラマの撮影後無くなったらしいのだ。そしてさらにドラマの主人公の女優が、並子を訪ねてきて、ドラマで撮影に借りた団地の部屋の包丁を借りたのだが、包丁の刃がかけたので、スタッフに研ぐように指示したが、その包丁の行方が分からなくなってしまったとのことだ。そして、どうも店長の殺害に使われた凶器の包丁に似ているとのことだ。なるほどそうゆうことかって? なんで大女優がそんなはなしを並子にしてきたのか、良く分かりませんが、まあいいか。そしてドラマの続編として、またこの団地が使われることになったのだ。何か起きるよね。いよいよ並子が動き出す。

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