殺人よ、こんにちは(角川書店)

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十三歳の娘のパパが死んだところから物語が始まった。死んだパパは、一年の半分は外国を飛び回っていて、日本にいるときだって、うちには半分もいない。うちにいるときでも、帰りが夜中過ぎになるのは年中で、娘と顔を合わせるのは年に数えるほどしかなかった。たまに会うと「やあ、しばらく見ない内に大きくなったな」と言うくらいだ。そんなんだったので、パパが死んでも、べつに悲しくないのだ。ママも同様で、逆に喜んでいるように見える。なぜって、パパは一生懸命働いで稼いでくれたおかげで、遊んで暮らせるくらいの財産を残してくれたからだ。そして夏休みになり、恒例の海辺の別荘に来た。前も言ったかもしれませんが、私も海近の別荘を持っていて、この原稿も別荘で書いています。書き終わったら自転車で海に行きます。ハマグリを採ったり、ヒラメが釣れます。話を戻して。別荘は、娘とお手伝いさん二人で来ていた。その後ママが遅れてきたのであるが、なんと若い男を連れてきて、今度結婚すると明かされる。男は、財産目当てに決まっているのに、娘は「いいじゃない」と反対もしない。興味がないのだ。その後、娘の友達も別荘に遊びに来た。さらにパパの弟の叔父さんも加わる。叔父さんはパパと違って、ろくに働かず、パパにたかってはおこづかいをせびって遊んで暮らしている人だ。役者がそろった、何か起きないわけがない。そして殺人事件が発生する。「殺人よ、こんにちは」なのである。十三歳のませた娘の夏休みが始まったのだ。

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