東西南北殺人事件(講談社)

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◆典型的殺人事件
四文字熟語シリーズの登場です。いやーしかし大貫警部って、あんなにでたらめでしたっけ? 相棒の井上刑事も大変だ。第一作の第一話は、冒頭で「まあ、よくある事件ですね」と言っている通り、典型的殺人事件だ。女癖が悪い評論家の男が、殺された。評論家の妻も、男を作っている。当然、夫婦喧嘩が絶えない。評論家には、娘と息子がいるが、二人ともぐうたらで、金に困っているらしい。評論家が殺される理由は、山ほどあるということなのだ。この殺人事件の捜査を、大貫警部と井上刑事のコンビが当たるのであるが、大貫警部の捜査がでたらめなのだ。あっちを調べていたと思えば、こっちを調べたり、犯人は、内部の犯行だと言ったのに、外部の犯行だに急に変わったり、思いつきで捜査していて、論理性が全くなく、引っ掻き回しているだけなのだ。警視庁の周囲のみんなが、ため息とともに「いっそ何もしないでいてくれたら・・・」と言う気持ちもわかります。でも、こんなでたらめな捜査が、ヒットしてしまうんですね。これが、主人公の大貫警部なのだ。井上刑事は、生真面目過ぎるのが欠点と聞いていたが、容疑者の女性とホテルに行ってしまうとは? どうなっているのだ。
『シリーズ登場人物』

◆迷宮入り殺人事件
警視庁捜査一課の威信がかかった捜査が始まるらしい。もちろん、こんな捜査に大貫警部が加わったら、めちゃくちゃにされるので、捜査一課長は、うまいこと言って、大貫警部に迷宮入りした、二十年前の人妻殺人事件の再調査を指示したのだ。捜査一課長の良い判断です。大変なのは、コンビを組まされ、振り回されている、井上刑事だ。同僚から「あれに馴れときゃ、もう誰と組んでも大丈夫だからな」なんて言われている。確かにその通りですが。とりあえず、殺された人妻の関係者に、再度聞き取り調査を開始する。人妻の夫、長男、次男、長女と話を聞くのであるが、大きな手掛かりは、見つからない。そんな中、人妻の長女が殺害されてしまう。二十年前に起きた人妻殺しとの関連は、あるのでしょうか? 結局、二十年前の殺人の犯人が分かるのであるが、井上刑事の計らいで、公にならずに処理されるのだ。井上刑事って、いい人かも。それより、警視庁捜査一課の威信がかかった捜査って、何だったのだろうか? 気になって眠れない。

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◆本人殺人事件
今度の話は、大貫警部のせいで、同僚の妻が死んでしまう。発端は、大貫警部と同僚の警部の大喧嘩だ。同僚の警部は、我慢強いというか、超人的忍耐力で大貫警部の侮辱に耐えていたが、ついに堪忍袋の緒が切れてしまったのだ。この喧嘩は、捜査一課長が犠牲になり、何とか納まる。大貫警部は、一週間の停職処分になる。そんなことがあった直後に、同僚の家に、送り元が大貫警部からの、ジュースが届いた。同僚の奥さんが、そのジュースを飲んで、死んでしまったのだ。当然、大貫警部に疑いがかかるのであるが、送り状を書いた字を見て、疑いが晴れる。(大貫警部は、「こんな下手な字は、俺じゃない」、井上刑事は、「こんな上手な字は、大貫警部でない」との判断なのだ)結局またもや、大貫警部のいい加減な理由で、真犯人を捕まえてしまう。おもしろくない。それより、大貫警部が、結婚していることが、判明したのだ。おどろいたーー。

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◆東西南北殺人事件
いやー、大貫警部ってすごい、一ヵ月の新聞をまとめ読みして、東西南北殺人事件に気付いてしまうのだ。毎週金曜日に人が殺されていて、最初が東さん、二番目が西さん、三番目が南さんなのだ。このままだと、今週の金曜日に、北が付く人が、殺されるというのだ。これを聞いた捜査一課長は、こんな名前は偶然で、関連する事件ではないと思いながらも、大貫警部へ「すばらしい」褒めたたえ、「この三つの事件を洗いなおしてくれと」と命じるのである。何のことはない、通常業務を引っ掻き回されたくないので、大貫警部を外しているだけである。当然、井上刑事がコンビで、三つの事件を洗いなおすのであるが、なんと、金曜日に、北さんが殺害されてしまうのだ。大貫警部のめちゃくちゃな感が、当たってしまったのか? 三つの事件との関連は、あるのであるか? しかし、人って、学習するのですね。井上刑事は、大貫警部の扱いに、だいぶ慣れてきているようです。まあ、大貫警部に、染まらなければよいのですが?

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