真夜中のための組曲(講談社)

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◆駐車場から愛をこめて
そうだよね、サラリーマンって大変なんです。私も、サラリーマンを四十三年やっていたので、分かります。上司の指示には嫌でも従わなければならず、上司から嫌味を言われても反論できず、嫌な飲み会に出なければならず、大した給料が出るわけでもなく、休日には家庭サービスしなければならず・・・・、やばい、愚痴だけで終わってしまう、やめよう。「一つ忘れ病」と上司から言われている、新人社員が任されている、月に一度の定例顧問会議の準備の話しだ。もう一年近くやっているのであるが、毎回何かしらの準備漏れがあり、みんなに迷惑をかけているのだ。今回こそと頑張るのであるが、まただめで、駐車場の手配が漏れてしまう。駐車場の関係者に頭を下げて回るのであるが、駐車場を確保できない。仕方なく、最後の空いたスペースに止める車に当たり屋をして、止められないようにしようとするのだが・・・・。残念な結果になってしまいます。

【昭和】省エネ

◆我が愛しの洋服ダンス
旦那が、結婚前から使っていた洋服ダンスを、旦那が出張しているときに、黙ってタダで古道具屋に引き取らせた。出張から帰った旦那は、怒り狂って、手まで上げてしまう。奥さんは家を飛び出したが、冷静になると、勝手に処分したのはまずかったかなと反省する。行く当てもないので、洋服ダンスを引き取ってもらった、古道具屋に行ってみた。するとなんと、あの洋服ダンスが、売ればかりだという。まだ買った人がその辺にいるかもしれないと探すと、洋服ダンスを積み込んで、運ぼうとしている車を見つける。慌ててタクシーを拾って後をつけると、高級住宅街の屋敷に、洋服ダンスを運び込んだのだ。さて、こんな古ぼけた洋服ダンスを買った理由は何なのか? そして、この洋服ダンスを取り戻すことができるのか? いくら古くてガラクタしか見えないといっても、本人にとってはとても大事なものがある。旦那が怒るのも無理ないですよね。

◆見知らぬ同僚
女子社員が、労働組合でも問題になっている、お茶当番で早く会社に出社したら、見知らむ青年が、とある席に座っていた。このことをきっかけに、勘違いのオンパレードが始まるのだ。 その一:庶務のやかまし屋として名物ともいうべき女性が、子持ちの男と結婚するらしい。 その二:庶務課長の不倫相手の部下が、妊娠したらしい。 その三:税務署が、会社の脱税の調査に入ったらしい。 といった具合で、みんな右往左往するのだ。ちゃんと確かめればよいのに、想像だけで動いているのだ。まあ、確かにそういうことってありますよね。勘違いで、無駄なことを一生懸命やって、馬鹿を見ることって。でも本作は、違います。その一とその三は、勘違いだったのに、功を相してか、身から出た錆か、なんと本当のことになってしまうのだ。ところで、見知らぬ青年は、誰だったのでしょうかね?

【昭和】タイムレコーダー 養老院

◆幸福な人生
本作は、少し難しい話であった。小学校から親友だった、姉妹のような二人の女性の話である。勝気でわがままな女性と、おとなしく地味な女性のよくある組み合わせで、地味な女性が、勝気な女性に、いつも小間使いのように従っているのだ。そんな地味な女性に、彼氏ができて、勝気な女性と一緒に行くはずだったスキーを断ってしまう。勝気な女性は、おもしろいはずがない。お約束通り、勝気な女性が、地味な女性の彼氏を奪って、結婚してしまうのだ。それから、地味な女性は、不幸の連続で、今、誰の目にも命の消えかかっているのがはっきりと見て取れる顔をして、病院のベットに横たわっている。それに付き添っているのが、勝気な女性だ。そして、地味な女性は、息を引き取るのであるが、安らかな顔をしていたのである。この二人の女性は、本当に親友だったのだ??

◆人生相談
ラジオの人生相談を時々聞きますが、おもしろいですよね。何でそんなことを悩んでいるのか、いつも不思議に聞いています。でも、本人は、本当に悩んでいるのでしょうね。今作は、そんなラジオの人生相談に、サクラの質問者を頼んで、電話をかけさせる話だ。今回は、ディレクターの奥さんの妹が、サクラとして電話して、旦那のウソの悪行を相談したのだ。妹は、演劇の経験があり真実に迫る相談で、チーフディレクターなどは大喜びするのだ。その後、妹に「あんたを助けてあげるよ」との、訳の分からない電話が入る。妹は、間違い電話と思い放っといたのであるが、なんと、妹の旦那に危険が迫ったのだ。だれかが、ウソの電話相談を本当のことと思い、妹に代わり、旦那に復讐しようとしているらしい。公共の場で、堂々とウソをついたので、こういうことになりますよね。ウソは駄目ですよね。

◆あなたのラッキーナンバーは
気持ちは、分かりますが、何とも間抜けな、主婦二人の話です。電話番号の末尾が「50」の方が、駅前のストアに来れば、先着五名様に現金一万円を差し上げると、ラジオで聞いた。慌てて家を出た主婦が、バス停に向かうバスを見つけて、必死に追いかけるのであるが、間に合わず、バスは、バス停に止まらず行ってしまう。がっかりしていると、同じく息を切らした近所の主婦が現れた。互いに相手が、先着五名様現金一万円を狙っているのだと勘ぐり、相手より先んじようとするのであるが、邪魔が入り思うように、駅前のストアに行きつかないのである。駅前に行くだけなのに、一人の主婦は、命の危険を感じたりしている。果たして、一万円をゲットできたのか? できないよね。

【昭和】時刻

◆予約席
若い娘が、毎朝通勤電車で座っている席を、乗換駅で老人に譲る話である。互いに名前も知らないが、いつの日からか、言葉を交わすようになり、この習慣が出来上がった。私も、四十三年間サラリーマンで、満員電車に揉まれていたので分かります。通勤電車で、座れるか、立つかは、天国と地獄の差があります。その若い娘の父親が、土木工事会社に務めているのであるが、職人気質の頑固おやじで、いい年なのに、ずーっと現場監督をしている。そんな父親が、会社をクビになった。どうも、父親が、もともと仲が悪かった人事を握っている部長に、殴りかかってクビになったらしい。ここまで来るとわかりますよね、娘が毎日席を譲っている、老人の正体が。しかし、職人気質の頑固おやじって、扱い難しいよね。え、私???

◆危険な署名
主人公が、会社の帰りに家の最寄り駅で下りたら、若い女の子が、署名とカンパを行っていた。主人公も学生のころ、こんなことをしていたんだと懐かしみ、署名とカンパを行った。この日から、警察が会社に主人公のことを聞きに来たり、奥さんが、だれかに跡をつけられたり、不穏な出来事が発生しはじめる。そして、同じく署名とカンパした近所の主人が、一家心中してしまう。いやいや、署名とカンパをしただけなのに、どういうことなのか? さらに、主人公が会社でのけ者にされたり、娘が幼稚園を辞めさせたり、追い込まれていく。業を煮やした主人公が、夜に主人公の団地を監視していた、怪しい男を問い詰めると、車に乗せられ、どこかに連れていかれてしまうのだ。行った先と目的はいかに? 気になったのが、主人公が警察に「ここは民主国家だぞ!」と言うと、「そう思いますか?」と帰って来たことだ。日本てどうなんだっけ?

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