模範怪盗一年B組(光文社)

【広告】スポンサーリンク


「大変だ、大変だ」と、口の中で呟きながら、主人公の女子高生が、学校の廊下を走っている場面から、物語が始まる。今度は、「参ったな、参ったな!」と、ハアハア喘ぎつつ、口に出しながら、主人公は、一気に階段を駆け上がる。そして、主人公は、「天文部」と札の下がったドアを、勢いよく開けた。「大変なことになったのよ!」と、部室にいた部員の男二人に言うのだ。三人共まだ一年生で、何時もつるんでいるのだ。「顧問の先生がね、突然、天文台と屋根裏の整理をやる、って言い出しちゃったのよ!」と、主人公。「この昼休みが終わったら、私たち実験室よ。それで放課後すぐに天文部は全員天文台に集合して、大掃除。いつ、あれを運び出しゃいいの?」「じゃ、今、運び出そうぜ」「まだ昼休み、三十分もあるんだから」「みんながゾロゾロ歩いているのに?目につかないように運び出せると思う?」「みんなの注意を、他にそらしておくことだ」「部員の男Bの出番だ」と、部員の男A。「た、大変です!」と、今度は教師の一人が、職員室へと飛び込んで来た。「あなたのとこの生徒が---」と、主人公たちの担任の先生に、「校舎の屋根の上に出て---飛び降りると言ってるんです!」 鉄筋コンクリート三階建ての校舎の屋根の端に、部員の男Bが腰かけて、足をブラブラさせているのだ。校庭は、全校の生徒が残らず出て来て、ワーワーと大騒ぎになっていた。「---教師たちも出て来たよ」「もう大丈夫だろう」「OK。行動開始」と、主人公と部員の男Aが、空っぽになった、校舎の中へ、小走りに入って行った。この校舎の一番上に、半円型の、おわんを伏せたような格好の天文台があるのだ。中央にデンと居座っているのは、天体望遠鏡。顧問の先生が、よく手入れしているので、いまだ使っているが、部員の間では、ひそかに、「博物館に行っても見られない年代物」と囁かれている。この天文台のわきに、観測用具をしまう小部屋がある。主人公は、その戸を開けた。「おじさん、---ねえ、おじさん」「私よ。---おじさん」と、主人公。「---何だ、君たちか」「寝てたの?」「いや---何だか外が騒がしいんで、目が覚めたところだ。何かあったのかい?」と来た。なんでこんなところに、おじさんが寝てるの? これには、深い訳があるんですよね。さてどうなることやら?? いやーしかし、主人公のの母親、呑気で浮世離れしていて、おもしろい! こんな母親だから、娘が、しっかり者になっちゃうんですよね。

コメント