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◆影のような男
「人間はもともと罪を負って生まれて来るのよ」「そうかい?」「そうよ。だから、人間である限り、多少は罪を犯しても仕方ないのよ」「しかしね、それは良心とか信仰とかの意味での〈罪〉だろう?やはりまずいよ」「そんなことないよ」と、冒頭の夕子と宇野警部の会話だ。宇野警部は、結局、夕子に押し切られて、罪を犯すことになったのだ。いったい何をするのだろうと、緊張していると、ドライブに来た車の中で、キスをするだけなのだ。こいつら、こんなに間抜けだったっけ?? 宇野警部は、パトロール中の警官にでも見付かったらどうしようかと、気が気でなかったらしいです。そうしたら、車の窓をトントンと叩く音、二人ともワッと飛び上がるほどびっくりしたのだ。残念ながら警官ではなく、サラリーマン風の中年男だ。「警視庁捜査一課の宇野警部でいらっしゃいますね」と来た、「ええ、そうですが---」と、面食らった宇野警部が言うと、「そうですか。それなら、結構なんです」と言うと、一礼して、トコトコと歩いて行ってしまったのだ。どういうことなの?その後、二人でホテルに泊まって、朝に宇野警部が、ホテルの駐車場に行って、車の乗ろうとすると、「おはようございます」と、例の男が現れたのだ。「ゆうべ僕らの後を尾けて来たんでしょう?」の問いに、「まあ、そういうことになりますか」と、「何のために?」には、「別にこれといって・・・・。まあ、どうぞ気になさらずに」と言って、駐車場に並んでいる車の一台に乗り込んだのだ。気にするなと言われても、後を尾けられていては、気になりますよね。宇野警部の車が、通りに出て、少し走らせ、バックミラーへ目をやると、例の男の車がついて来るのが映っているのだ。宇野警部が警視庁に行くと、あくどい商売で大儲けしている男が、捜査一課に、保護してくれと依頼が来た。もちろん断ると、その男の行方が分からなくなったとのことだ。そして、宇野警部を尾けている車の持ち主を調べると、なんと、行方不明になった男だったのだ。宇野警部が、夕子と、パーラーにいると、例の男が現れた。男は、自分の身が狙われていて、捜査一課に、保護を依頼したが、断られたので、宇野警部の側にいれば、いざというときに助けてくれると、後を尾けているとのことだ。頭いいーーーこの男!すごい発想だ!! さてどうなるのでしょうか?
『シリーズ登場人物』
◆美女は二度殺される
宇野警部と夕子が、高級マンションで暮らし始めて、早くも三日という。おーーー遂に同姓始めたか、うらやましい、と思いきや、夕子の友達が、ヨーロッパ旅行に行くので、留守番を頼まれただけなのだ。そうだよね、警視庁捜査一課の刑事が、高級マンションを買えるわけがない。そんなところに、このマンションに住む、映画界に君臨する大女優の付き人の女の子が、訪ねて来た。この付き人は、俳優志望で、この大女優のマンションに通い詰め、大女優の付き人に入り込んだのだ。付き人は、青ざめて、こわばった顔で、いつもと様子が違う。「ここに、警察の偉い方がいるんでしょ」「私・・・・・自首しに来たんです」とのこと、付き人が、大女優を殺してしまったというのだ。宇野警部と夕子、そして付き人が、急いで大女優の部屋に向かった。しかし、死体があるという寝室に、死体がない。他の部屋を捜したが、見付からない。付き人は「ここで刺したんです!あの人の背中を思いっ切り!」と言い張っている。誰が通報したのか、警察や報道関係が来て、大騒ぎになる。そこへ、ひょっこり、大女優が帰って来たのだ。「ねえ、ほら見て!」「私も写真に写ってるは、ほら!」と、夕子。スポーツ新聞の一面でデカデカと〈大女優殺される?--実は勘違い、狂言の疑いも〉見出しで、フラッシュを浴びて艶然と微笑んでいる大女優、そのそばで、シュンとしている付き人、ついでに、わが夕子も写っているのだ。「しかし、何だかすっきりしないなあ」「本当は何が起こったんだと思う?」「私に分かるわけないでしょ」って感じの事件だったのだ。アッという間に、日が過ぎて、留守番の終わりの日が近づき、最後の一晩を二人で過ごしていると、また、付き人が訪ねて来た。「あの---先生が、おかしいんです」と、付き人の青ざめた顔。ただごとでないと、宇野警部と夕子が、大女優の部屋に向かうと、今度は本当に、大女優が寝室で、死んでいたのだ。背中にナイフが突き刺さったている。今度は、付き人は「私じゃありません!私、先生を殺したりしません」ときた。『美女は二度殺される』のだ。さて犯人は?
◆幸福なる殺人
宇野警部が、きちんとした背広を着て、ネクタイまで締めている、怪しいと思ったら、お見合いらしい。よくいるお節介叔母さんの進めだ。今からお見合い場所のホテルに向かっているのだが、なんと夕子が付いてきているのだ。どうなることやら? ホテルに着いて、ロビーに入っていくと、結婚式の客らしい姿がやたら目につく。ソファーに座って待っていると、「諦めが悪いね、君も」「何と言われようと、僕は分かっている!彼女は僕を愛しているんだ!」落ち着いた物腰、白髪混じりの豊かな髪をなぜつけ、知的な風貌の、タキシードと蝶ネクタイの中年の男と、汚れたジャンパーにジーパンという、およそこの場所にふさわしくない格好の、二十二、三の若い男の会話だ。そして、「絶対に彼女とは結婚させないぞ!」と、言い捨てると、若い男が、足早にロビーから姿を消したのだ。すると、その中年の男が、宇野警部の前に来て、「失礼ながら---宇野警部でいらっしゃいますね」「実は、このホテルで結婚式を挙げることになっていまして」「人が死ぬことになるかもしれないです」と、言い放つのだ。やっぱりね。話変わって、宇野警部のお見合いだ。お節介叔母さんが、連れて来た見合い相手は、何と十六歳の女の子なのだ。そして、お節介叔母さんは、「じゃ、私はちょっと用事があるから、後はよろしくお願いするわね」と、行ってしまった。宇野警部が、参っていると、少女がピョコンと顔を下げると、「よろしくお願いします」と、挨拶されたのだ。「何か食べる?アイスクリームとか、チョコレートパフェとか」には、「いいえ」で、「お庭を歩きたいんですけど」と来た。庭を歩いていると少女は、「私、あなたに会いたかったんです」「助けていただきたくて」と来た。するとそこに夕子が駆けてきて、例の中年男の花嫁さんが、殺されたという。すると、見合い相手の少女は、真青になってよろけ、「ああ、お兄さん!何てことを、してくれたの!」と、叫ぶなり、すすり泣きを始めたのだ。来たね事件、この少女の正体は如何に、ってか?
◆銀座の殺しの物語
宇野警部が、なかなか取れない日曜日の休みに、夕子を連れて、銀座の歩行者天国に来ているのだ。歩行者天国ね、むかしは、色んなところでやっていて、良く行きましたが、今でもやっているのかな?大道りの真ん中の、丸テーブルの椅子を見つけて、二人で座る。夕子に付き合って、デパートや商店街を歩き回って、疲れたらしい。二人が座ったテーブルには、あと、十歳ぐらいの女の子と、その母親らしい女性がいて、女の子は、ポテトフライを食べている。母親の方は、病み上がりででもあるのか、少し顔色も悪く、やつれた感じだった。「もう行きましょうね」と母親、「もう少し---」女の子は、せっせとポテトフライを口に運んでいる。「さあ、行きましょ。歩きながら食べればいいわ」と、母親が促す。「---もう、空っぽ」と、女の子が、コップ状の容器を、キュッと握りつぶした。「捨てるところは?」「待ってなさい。どこかにあるは」と、母親は、立ち上がって、女の子の手を取った。「私が一緒に捨てておいてあげるわ」と、夕子。夕子は、ソフトクリームを舐めていたのだ。「お姉ちゃんが捨てといてあげるからね」に、「うん」女の子は肯いて、「おばちゃん、ありがとう」と来た。その母親が歩いて行くのを見送って、「きっとあの子、目が悪いんだわ」と、夕子。やけ気味で、ソフトクリームの残りを一気に口の中に押し込むと、女の子の渡した容器を手に立ち上がった。「行くわよ。不愉快だわ。何か食べなきゃ」すると、夕子が、歩き出した足を、ピタリと止めた。ポテトフライの容器に、〈ママが死ぬのを、止めてください〉と、書かれていたのだ。宇野警部と夕子が、急いで、あの母子の後を追った。母子は、インチキな勧誘に呼び止められていた。すると突然、けたたましい、自動車のクラクションとエンジンの唸り。ちょうどそのとき、勧誘を振り切った母子が、歩行者天国と交差する通りを渡ろうとしていた。一瞬の出来事だった。赤信号の通りを、一台の車が、クラクションを鳴らしっ放しにして、突っ込んで来た。母親の方の体は高々とはね上げられて、路面に叩きつけられていた。そのときには、もう車は見えなくなっていた。宇野警部と夕子、何やってたの、まったく。さて、どうなるのでしょうか?
◆幽霊心理学
宇野警部と夕子が、エスカルゴを食べている。宇野警部は、このところ多忙で、ほとんど休みも取れない状態だったので、ほとんどもぎ取るようにして得た貴重な一日を、夕子と過ごし、どこかの週刊誌のグラビアで紹介してあった、レストランで食事をしているのだ。デザートを頼みながら、「---私たち、はた目にはどう見えるかしらね」「女子大生と中年男と・・・・・。お手当をもらっている愛人ってとこかな」と、夕子。「僕にはそんな金があるように見えると思わないね」と、宇野警部。「あの人にはありそうよ」と、夕子。二つほど離れたテーブルに、若い女と、中年---というより、もう初老のイメージの男が座っていた。「なるほど、男の方はどこかの大会社の重役ってところかな」「じゃ、あっちはどうだい?」窓際のテーブルに一人で座っている男を、宇野警部が指差した。「どうってことのない男じゃない」「私の好みじゃないわ」と、夕子。そして、宇野警部が、ふと考え込んで、夕子から借りたコンパクトにその男を写して、じっと顔を見つめたのだ。なんとその男、一家皆殺しで手配中の男だったのだ。宇野警部が、トイレでも行くふりをして、連絡しようとしていると、「宇野様でいらっしゃいますね」と、ウェイター。ウエイターについて行くと、原田刑事が、いたのだ。手配中の男を追って来たという。宇野警部は、原田刑事に手配を指示し、席に戻った。すると「警視庁の宇野警部ではございませんか?」と、レストランのマネージャ。やっちゃった。手配中の男が、それを聞いて、例の若い女を抱きかかえ「動くと、この女を殺すぞ!」と、若い女の喉に、ナイフを突きつけたのだ。そして、男から、例の重役風の男の車を、宇野警部が運転して、逃げるとの要求が出た。どういうわけか(当然か)「私も行く!」と、夕子も付いて来るのである。車に、四人が乗り込み、走り出し、男が、「その先を---」と言いかけたが、「どっちだっけ?」と、来た。すると「左よ」と、人質の若い女。人質が、逃げる先を、指示したのだ?どういうこと??さて、どうなるのでしょうか???
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