幽霊物語(集英社)

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三十五歳で、父の会社を継いでからは、正にマスコミでも「軌跡を起こす男」とあだ名もつけられるほどの勢いで、各方面に事業を拡大してきた実業家の男が、交通事故で死んで、幽霊になった。幽霊は、見聞きすることはできるが、触ることができない、物がすり抜けてしまうのだ。もちろん人からは、幽霊は見えないし、幽霊の声も聞こえない。唯一緊急時に、鏡に映して、人に幽霊の存在を知らせることができるらしい。幽霊になった実業家は、自分の後継争いを、はらはら、いらいらしながら見届けるのだ。後継者争いは、副社長、専務、常務、そして実業家の妻の四人で争う。四人とも自分が有利になるように、裏工作などを始めるのだ。こんな実業家の幽霊が、高校生の少女の幽霊に出会うのだ。この少女は、男二人に性的暴力を受けた後に、殺されて、幽霊になった。そして事件後、少女の母親が亡くなり、少女を襲った犯人を探していた父親が、何者かに殺されてしまって、少女の妹が一人残されたのだ。幽霊同士は、話もできるし、触ることもできる。幽霊になった実業家と少女は、実業家の後継争いを見届けながら、少女を襲った犯人捜しを行うのだ。後継争いの方は、相手の弱みを掴んで、それで貶めるという、醜い争いだ。弱みといえば、不倫ですね。重役ともなると、みんな愛人を抱えているんですね。父親が殺された事件の方は、担当刑事と妹が協力して捜査していくのであるが、今度は、妹の命が狙われるのだ。どうも、少女を襲った犯人と父親を殺した犯人は同一人物らしく、その決め手に辿り着けそうになるのであるが、その決め手を握っていた女性が、また殺されてしまうのだ。一連事件の犯人と、実業家の後継争いに行方は如何に? です。いやー、幽霊ってもどかしいですね。色々な事実を掴んでも、それを人に伝えることができないし、危ない目に会おうとしている人を、直接助けることができないのだ。まあ、しかたないか? この本を読んで、私の周りにも幽霊がいるような気がしてきました。

【昭和】チャイルドシート

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