人畜無害殺人事件(講談社)

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◆不言実行殺人事件
うむ、おかしい、大貫警部がまともになってきている。『「放っとけ」と、大貫が言った。「そうですね」井上は、珍しく大貫に同感だった。』ときた、井上刑事がですよ、大貫警部に同感するなんて、今までありませんでした。年取ったのかな? 慣れてきちゃったのかな? 井上刑事と直子が、友達の住むマンションに訪ねた帰りに、マンションで、直子の中学生の時の女の先生に、偶然出会ったのだ。この時は、簡単な話をして別れた。翌日、大貫警部と井上刑事が、殺人現場に出向くと、なんと昨日訪れたマンションだった。殺人があった部屋の階も、昨日直子の先生に会った階なのだ。井上刑事は、何だかいやな予感がしたのだ。殺されたのは、TV局の仕事をしている男で、かなりの高給取りだったらしく、ベンツなどを乗り回していた。発見者は、TV局の同僚の女性で、昼になっても男が出社して来ないので、おかしいと思ってマンションにやってきて、見つけたのだ。大貫警部と井上刑事が同僚の女性に話を訊くと、男には、愛人がいることが分かった。そして、愛人の名前を聞いて、井上刑事は、驚いた。井上刑事の悪い予感が、当たってしまったのだ。愛人の名は、昨日会った直子の中学生の時の先生だったのだ。大貫警部と井上刑事が、先生の家を訪ねると、先生の旦那さんが、「私を逮捕していただきたい」と自首したのだ。井上刑事が、捜査一課の席に座っていると、捜査一課長の箱崎警視に「おい、井上、元気か!」と声をかけらられた。さらに「気分爽快、だ! 十年も若返った気持ちだぞ」などと言っている。井上刑事が「警部に何かあったんでしょうか?」と、つかさず質問。どうも、大貫警部が、先生の旦那さんの訊問をしているのであるが、旦那さんは、頑固で一言もしゃべらないので、朝からかかり切りになっているとのことである。箱崎警視は「旦那を表彰してやりたい」などと言っているのだ。さてどうなることやら?
『シリーズ登場人物』

◆不眠不休殺人事件
大貫警部やっぱりおかしい。『「でも、やっぱり大貫さん気にしているのよ・・・・・」「少なくとも、人間であることを証明したわけだな」「そんな言い方しちゃ気の毒よ」』と、直子と井上刑事のやりとりだ。大貫警部が、何かを気にしているのだ。やっぱおかしい! それはさておき、警視庁捜査一課に手紙が舞い込んだ。開けてみると、雑誌や新聞の文字を切り抜いて貼った、脅迫状風の手紙だ。文面は、〈おおぬき警ぶの命をもらう。かくごしておけ〉だ。というわけで、井上刑事に、大貫警部を一人で二十四時間警護するように、箱崎警視から指示が出た。ということで、「不眠不休殺人事件」なのだ。「人のため、世のために命がけで尽くし、その挙句、逆恨みされて、狙われる。身を守るために人を使えば、税金のむだづかいと言われる。---これが刑事ってものの宿命なんだ。お前もよく覚えてけ」などと、大貫警部が言うのだ。やっぱおかしい。とりあえず、怪しい人間を洗おうと井上刑事が、大貫警部に訊くと、「第一には、エースの哲かな」とのことで、エースの哲に家を二人で訪ねると、家には、十四、五歳くらいの少女がいて、エースの哲の居所を尋ねると、少女は、タンスの上の一枚の写真を指さすのだ。三日前に亡くなったとのことだ。少女は、エースの哲の孫で、二人で暮らしていたのだが、半年前に「俺は警視庁捜査一課の大貫だ」と名乗った男に、エースの哲が殴られ、はずみで足の骨を折ってしまう。それが原因で、急に弱って亡くなったとのことだ。その後、大貫警部、井上刑事、直子の三人でレストランで昼食をしていると、エースの哲の孫娘が現れた。このレストランで働いていたのだ。そして、孫娘が、コーヒーを運んで来て、テーブルに置くとき、コーヒーが飛んで、大貫警部のズボンにかかってしまった。孫娘がハンカチで拭こうとかがめた瞬間、何かがはじける音がして、孫娘が、低く呻いて、テーブルに突っ伏したのだ。孫娘が大向警部の身代わりに、撃たれてしまったのだ。本当に大貫警部が狙われていたのだ。さて、どうなるのでしょうか? そうそう、これで冒頭のやりとりに繋がるのだ。

◆慶弔禍福殺人事件
遂にやっちまった。大貫警部が殺人事件で指名手配されたのだ。「おい、井上」「どうだ、例の可愛い彼女との仲は? 進展しているのか?」と箱崎警視が声をかけた。機嫌がいいのだ。そう!大貫警部が風邪で寝込んでいるのだ。もう四日になる。箱崎警視は「放っておけ」と言うのであるが、井上刑事の中の「底抜けのお人好し」が目覚めてくるらしい。「お見舞いに行きましょうよ」との直子の言葉に乗って、大貫警部の家を訪ねることにしたのだ。大貫警部は留守だったが、なんと、大貫警部の家の中で、刺殺された男を発見するのだ。殺された男は、大向警部の家の隣に住む男で、男の弟に話を訊くと、男は、大向警部と仲が悪く、年中やり合っていたらしい。そして昨日、隣の男の父の葬式があったのであるが、「チチウエノゴセイキョウヲ ツツシンデ オイワイモウシアゲマス オオヌキ」という電報が届いたとのことで、隣の男は、カンカンになって怒ったらしい。葬式が終わって、隣の男が、大貫警部の家に怒鳴りこんで行き、大貫警部に刺されたと想像できる。さらに、隣の男の奥さんに話を訊くと、「大貫警部がやったとは思えません」とのことだ。隣の男は、大貫警部とケンカばかりしていたが、ケンカは、スポーツかレクリエーションみたいなものだったと言うのだ。なにはともかく、大貫警部を探さないといけない。大貫警部の家の捜査が終わり、井上刑事と直子が、直子のアパートに帰ると、予想通り、大貫警部がいびきをかいて寝ていたのだ。「どうしてこんな所に隠れてんです? ちゃんと一課へ連絡して来ればよかったのに」との問いに「それは俺も考えた。しかしな、俺のような有能な人間は、とにかくねたまれやすい。何かあれば、俺の足を引っ張ろうとしている奴も少なくないのだ」「俺がみごと真犯人を捕まえる!」とのことだ。斯くして、大貫警部を匿いながら真犯人探しが始まるのだ。うむ!箱崎警視は? 訊かないでください!!

◆人畜無害殺人事件
ごく普通の建売住宅で、男が刺殺された。男はこの家の主人で、ごく当たり前の勤め人だったとのことだ。奥さんと娘が一人いて、当人は体をこわして、休職中だったらしい。男は、娘のベットの中で裸で殺されていたのだ。それを見て大貫警部は、「簡単な事件だな」「女とのもつれだ」と決めつけた。「それならどうしてこんな娘のベットで?」の井上の問いに、「他にベットがないからだ」と即答。夫婦の寝室にはベットがなく、布団を敷いて寝ていたんのだ。もう一つ不思議なのが、殺された男の着ていた服が、見当たらないのだ。犯人が持って行ったのか? 殺された男の奥さんに話を訊くと、「人に恨まれたりするなんて考えられません」と来た。殺された男の素性を、一週間かけて調べた。男が勤めていた会社の同僚、上司に話を聞くと、「真面目で、良く働きましたよ」「いい人でしたよ」「仕事はきちんとするし、人柄も円満でね、立派な人だった」との誉め言葉ばかりだ。奥さんが言う通り、まさに良き夫、良き父親以外の何者でもなかったのだ。そんな男が、なぜ娘のベットで裸で殺されたのか? 男が体をこわして働けないため、奥さんと夜学に変えた娘が働いていたのであるが、井上刑事がたまたま入ったレストランで娘が働いていて、その働きぶりに関心したのだ。その話を聞いた直子が、そのレストランを訪ねた。娘も昼がまだだったので、二人でカレーライス食べて話をしていると、娘に電話がかかってきた。どうも直子に話を聞かれたくなるないようにしながら受け答えをしているのだ。直子の直感で、娘が、誰かに呼び出されているように感じたのだ。直子は井上刑事を、娘の勤めるレストランの前の喫茶店に呼び出し、監視していると、娘が出てきてた。そして、娘の後をつけると、甘味喫茶で男に会い、現金が入ったと思われる封筒を受け取ったのだ。あのできた娘が、まさか?って感じだし、さらに父親殺しと関係があるのか? いったいどうなるのでしょうか??

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