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本作は、赤川次郎の小説によく出てくる大金持ちの話だ。お金に縁のない私には、突拍子もないことをするお金持ちに対し、いつもお金持ちってそうなんだ、住む世界が違うなと思ってましたが、今回のお金持ちは、普通というか、まともでしたね。このお金持ちの当主は、良家のお嬢様がそのまま年をとったような七十歳の未亡人で、長男と長男の嫁、長男の息子、次女と住んでいる。長女は、結婚していて家を出ている。当主は、お金持ちらしくなく、家族思いで、子供たち皆が幸せになるように気づかっているのだ。そんな大金持ちのお屋敷に、新しいお手伝いが来た。十九歳、ちょっとずんぐりの型の体つき、芯の強そうな、しっかりとした骨格、肉付きのいい腕や足、太い指などに恵まれている。当主の未亡人は、この新しいお手伝いが気に入った。当主は、第一印象が外れたことがないようだ。そしてお手伝いは、当主の第一印象通りによく働いた。三週間で、すっかり家の中のことを覚えてしまい、家族の先手先手を打って働くのである。長男の嫁も、仕事をしているとこの方が安心すると、よく働いていたのであるが、それをお手伝いに奪われ、嫁の存在が消えてしまったとぼやくほどだ。そんな中、当主から「そろそろ私も用意していた方がいいだろうと思うの」と弁護士が呼ばれた。遺言状の話だ。預金だけとか、株だけとかというのであれば簡単らしいが、土地、屋敷、別荘など含め、動産不動産がずいぶんあるから大変らしい。それらを、三人の子供たちに、大体同じように分けたいとの相談だ。うらやましい。うん、待てよ!私も、持ち家と別荘があり、預金、株券などの動産不動産を持っているし、子供が三人いる。遺言状が必要かって?規模が違うでしょ!ガク!!弁護士から、長女の旦那が、事業に失敗して、破産同様の状態だと、聞かされる。その長女夫婦が屋敷に来て、皆で食事をすることになった。一見平穏無事に見えた一家に、嵐が吹き始めるのである。
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