ヴァージン・ロード(角川書店)

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本作は、赤川次郎が得意としているミステリーでもサスペンスでもない。婚活を描いた超長編だ。赤川次郎が「ここには突飛な事件も、現実離れした人物も登場しません」と言っている通り、二十九歳の女性の日常を描いたもので、いつもの人がぱたぱた死んだりはしないのだ。にもかかわらず、あっという間にこの超長編を読んでしまった。面白かった。主人公は、三人姉弟妹の長女で、九州から東京に出てきて一人暮らしをしている。弟や妹から頼りにされていて、ついつい助けてしまうのだ。そんなことから、29歳になっても浮いた話はなく、未だ一人さみしく暮らしているのだ。そんな主人公に、突然浮いた話が次々持ち込まれてくるのだ。先ずは、主人公が住んでいるアパートの管理人役から持ち込まれた見合い話だ。相手は、妻に逃げられ、男手一つで五歳の娘を育てている男だ。二人目は、母の依頼で叔父さんが持ってきた見合い話だ。相手は、叔父さんの部下で、仕事ができて、仕事に追われてここまで一人でいたという男だ。三人目は、主人公自らが申し込んだ結婚相談所から紹介された男だ。もう一つは、上司からの浮気の誘いだ。今だったらパワハラで訴えられる内容だ。これに、弟と妹の結婚話が絡んできて進んで行く。今は、結婚しない若者が増えていますが、昭和の時代は、女性が二十九歳にもなると、結婚に焦っていたんでしょうね。なんせ親が黙っていないのだ。世間体ですね。私は、若くして結婚したんで苦労はありませんでしたが、昭和の女性の苦労話が見れて、本当に面白かったです。今の若い子が、本作を読んだら何と言うのでしょうか? ちょっと怖いですが?? まあ、主人公には、幸せになってもらいたいものです。

【昭和】仕事納め

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