2025-09

感想

まっしろな窓(文藝春秋)

なかなか良い作品でした。昭和に良くあった、団地戦争の話だ。郊外の、畑や山林だった一帯を切り拓いて造られた広大な団地に住む住人と、団地ができる前から住んでいた住民との戦争だ。主人公は、この団地に越してきて六年になる女子高生だ。女子高生の母親は、この団地の共済会の会長を務めている。
感想

棚から落ちて来た天使(講談社)

中々面白い話でした。中規模の商事会社の庶務課の男が、アイドルの追っかけに巻き込まれる。この男、二十九歳だが、たいていの場合、「三十代半ば」に見られている。中肉中背、足も長くなく、短くもなく、色も黒からず白からず、地味なグレーの背広---少しくたびれている-
感想

ロマンティック(角川書店)

ふうーーーん、こういう作品を書いていたんだ、赤川次郎さん。誰も死なないし、名探偵や警部も出て来ない。もちろん、猫や吸血鬼、幽霊なんかも出てこない。ただのお子ちゃまの恋愛小説なのだ。「いい加減にしてよ!」突然、甲高い声が店の中に響き渡った。
感想

窓からの眺め(文藝春秋)

ある男が、高級住宅地の屋敷に案内されてきた。都心に近いわりに、異例の静けさだ。近くに外国の大使館もあるらしい。案内されて屋敷は、この辺でも、また特別に広い屋敷だ。ほんの二年前まで、ここはちゃんと人が住んでいたらしい。前庭の広さ、車が七、八台停められる。