勝手にしゃべる女(新潮社)

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またもやショートショート集です。今度は、二十六編が収録されています。前半の文庫名と同じ「勝手にしゃべる女」は、私と一緒です。女性が、たまたま美容院で手にした週刊誌に、〈お見合い〉の特集記事が載っていて、それがちょっと面白く、見合いでもするかって気になったのだ。いつも二つや三つ、縁談を用意している叔母のところへ行くと、「あら!つい先週、一組まとまったばかりよ」「後、まだいくつか残っているけど・・・あなたには、どうかしらね。一番ぴったりの人だったのよ、ついこの前。---本当に、あと一週間早かったら!」とのことだった。残念!帰り道に、親戚の間でも、変わり者で通っている別の叔母に会った。「時間あるでしょ?ちょっとお茶でも飲みましょうよ。ね?さあ---」と、強引に引っ張られる。「お見合い?」と、女性。「とてもいい人で、学歴も申し分ないのよ。少し年齢は行ってるけど、落ちついていて、収入もあるし、といって、子供が生まれても、将来困るほどの年齢でもないしね」と、叔母に男性の写真を見せられた。「もし、会ってみる気があるなら、今夜私の所へいらっしゃい」毎週九時に、男性が、叔母の所に来るらしいのだ。やったー!願ったり叶ったりだ。女性は、九時少し前に、叔母の家に行った。部屋は相変わらずで---いや、むしろ以前より、侘しい感じだ。古くなったし、畳も色が変わっている。大した家財道具もない。テレビが点けっ放しになっている。女性は、どうしてこんな部屋でお見合いするのかしら?と、思ったのだ。「そろそろ九時---」「時間も、とても正確な方なのよ。これが人柄を表しているわ」と、叔母。テレビで、九時の時報を打った。「---ほら、みえたわ」と、叔母は言った。確かに、写真の男性が現れた。「今晩は」「はい、今晩は」と叔母は挨拶して、「うちの姪をご紹介しようと思いましてね。とても可愛い子でしょう?」・・・だが、男性は話を聞いていなかった。叔母は、勝手にしゃべり続けていたのだ。分かりますよね、皆さん、何のことか? 私も、家族が相手をしてくれないので、吞みながら、いつも同じことをしています。はい! 後半は、サラリーマン特集だ。赤川次郎が、サラリーマンをやっていたころの思いの紹介と合わせて載ってます。何度も言いますが、私もサラリーマンを、四十うん年やってきましたので、サラリーマンシリーズが、大好きです。今回も、そうだよね、そうだよねと、楽しく読せていただきました。

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