まっしろな窓(文藝春秋)

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なかなか良い作品でした。昭和に良くあった、団地戦争の話だ。郊外の、畑や山林だった一帯を切り拓いて造られた広大な団地に住む住人と、団地ができる前から住んでいた住民との戦争だ。主人公は、この団地に越してきて六年になる女子高生だ。女子高生の母親は、この団地の共済会の会長を務めている。女子高生の父親は、フリーのライターをしているが、仕事はあまりうまく行っていないようだ。事の初めは、「会長さん?すぐに来て!大変なの!」との電話が、バザー担当の役員から来たことから始まる。土日の二日間、団地共済会のバザーが、集会所で開かれるのだ。会長が、集会場に駆け付けると、バザーの品物を並べる台の上に、十人以上の奥さんたちが、ドッカと座り込んでいたのだ。訊くと、団地外の奥さんたちが出品した物が、悪い場所に置いてあると言い出して、もめているとのことだ。仕方なく歩くには不便になるが、品物を並べる台の置き方を変えて、入口から一目で見渡せるようにして、収めたのだ。そして、バザーの当日、主人公の女子高生が、学校帰りに友達と、バザー会場に行ってみると、人だかりがしている。「そっちがやったことじゃねえか!そっちがすぐ直せばいいんだ!」「たかが机の並び方が何だってんだ!」と、男たちが怒鳴り合っている。せっかく夕べ机を並び替えたのを、それを知らない役員が、朝に、当初計画していた机の並びに戻してしまったのだ。女子高生が、会長の母親を呼びに行こうとすると、団地の役員の旦那が、団地外の旦那を殴りつけるのが見えた。相手は凄い勢いで、石だたみの道に倒れたのだ。女子高生が、会長の母親を連れて、バザー会場へ戻ると、人だかりは、もう散りかけていた。殴られて旦那は、気を失っちゃったのがきまり悪かったのか、こそこそと帰って行っちゃったらしい。一件落着と思いきや、なんと、殴られた旦那が、夜に、亡くなってしまったのだ。先にどっちが手を出したかで、団地組と団地外組でもめることになり、団地戦争に発展していくのだ。このことが、面白おかしく、週刊誌に書かれ、団地戦争に拍車がかかる。主人公と会長の母親が、右往左往させられるのだ。週刊誌って、あることないことめちゃくちゃ書きますよね。仕事とはいえ、ひどすぎますよね。そういえば、主人公の父親の仕事って・・・・・?

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