本日は悲劇なり(角川書店)

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◆本日は悲劇なり
女子高生が自殺した。そうですね、昭和の時代から自殺者が多くいますよね。生きてさえいれば、何とかなると思うのですが・・・・どうなんでしょうか?  普通のアナウンサーからレポーターになった男が、この自殺の取材を始めた。この男、声が独特の渋さを持っていて、外見も中年女性好みの、インテリっぽい二枚目というので、転身させられたのだ。先ずは、自殺した女子高生の告別式の取材だ。呆然とした様子の父親、涙もかれ果てたように、憔悴し切った母親・・・・。無遠慮に入り込み、涙に濡れた顔を平然とアップで撮るカメラマンたちの姿は、遺族の目にどう映っているのだろうか。それを考えると、気が重いのだ。そうです、この男は、レポーターに向いていないのだ。でも、仕事なので、ディレクラーの指示に従い、焼香を終えすすり泣いている同級生にインタビューをするのだ。「真面目な子で、とっても友だち思いでした」「まだ信じられません」「自殺の原因なんて全然わかりません」と、大体同じ返事が帰ってくる。ところが一人だけ「あんないやな人、いなかった。死んでせいせいしたわ!」と言い切った子がいたのだ。レポーターの男は、この子のことが気になり、休みの日に、高校へ出かけたのだ。そこである生徒から、告別式の生徒の対応は、学校から指示が出ていて、仕組まれたものであると聞かされる。さらに後日その生徒から電話があり、自殺した高校生の遺書があったことが分かり、ある先生が持っていると聞かされる。レポーターの男は、早々にその先生を訪ね、遺書があったことを追及するのであるが、のらりくらりかわされる。どうも、その先生は、レポーターの男が来ることが分かっていて、受け答えを準備していたらしいのだ。すると、また生徒から電話があり、明日は学校のマラソン大会があり、学校が空っぽになるので、遺書を探すチャンスであると聞かされ、その生徒が、遺書を探すのを手伝ってくれるというのだ。レポーターの男は、迷いながらも、学校に出向くのである。さてどうなることやら?

◆1/2の我が家
「1/2の我が家」? 何を言ってるんだと思ったら、社宅のことでした。分かります、分かります。私も社宅に十年ぐらい住んでいました。半分は自分の家で、半分は会社だ、ということですね。社宅に住む三十八歳の男が、課長になった。会社で一番若い課長らしい。その新人課長が、課長第一日の出勤時に「---どうしたもんかな」と悩んでいる。五十歳に近い部下がいるのであるが、その部下が席を譲ろうとしたときだ。十歳以上も年長の年上の人を立たせて、俺が座っていられるか? と悩んでいるのだ。どうも、バスに管理職が乗ってきたとき、空席がないときは、平社員が立って、管理職に席を譲る、という不文律があるとのことだ。そして、新人課長が乗るバスに、年長部下が乗っているとのことだ。ふーん、他にもっと悩むことがあるんじゃないの、新人課長さん? 話は変わって、この社宅に自治会がある。そうそう、社宅って、会社が運営してくれると思っていたら、違うんですよね。住んでいる人たちが、運営しなくてはならないんです。で、ここの自治会の会長は、十年間、社長の娘がやっているのだ。幹事は、管理職の婦人たちで、その人たちを牛耳って、お山の大将になっているらしい。一応、自治会長は、毎年、役員の選挙で決めるのであるが、事情を知らない新人役員以外は、社長の娘に投票し、毎年ほぼ万票で決まっているらしい。今年も自治会長の選挙を行ったのであるが、どういうわけか、一票差で、新人課長の奥さんが、自治会長に選ばれてしまったのだ。訳が分からない。事件? 何かの罠? 話は戻って、新人課長の年長部下は、元々新人課長が入社した時の係長だった人で、出向先で失敗をして、戻され、それ以来「窓際族」になったらしいのだ。それでも会社を辞めずに、頑張っているのだ。新人課長は、この年配部下を立ち直らせようと、部長の反対を振り切って、重要な商談に行かせたのが。果たして如何に? そうそう、新自治会長の方も、お約束通り、大変なことになってしまうんです。いやー、サラリーマンもの、やっぱり面白いですよね!

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