三毛猫ホームズのびっくり箱(角川書店)

【広告】スポンサーリンク


◆三毛猫ホームズのびっくり箱
今度こそ、久々の三毛猫ホームズだ。第一話は、箱が人を殺したらしいのだ。いつもの通りに「おい、片山!」と、片山刑事が栗原警視に呼ばれた。片山刑事は、栗原警視が呼ぶ声のイントネーションの微妙な差で、大体どんな要件か見当がつくのである。長い付き合いだもんね。私も妻の「ねー」のイントネーションの違いで、要件の見当がつきますが? 今回は「面倒だな。誰かほかの奴にやらせようか。しかし、そんな物好きはいるかな。--そうか!片山がいい!あいつは単純だから、ちょいと口車に乗せて、やらせまおう。--おい、片山!」だそうです。未解決殺人、二十周年記念パーティーに行けとの指示だ。未解決殺人は、お金持ちの次女の旦那が、庭に置いてあったスチールの物置みたいな部屋で中で死んだのだ。部屋の入口にカギがかかっていて、中からは開けられなくなっていて、部屋には古いテーブルが置いてあって、その上に空の箱があっただけだったらしい。だから、箱が人を殺したと言っているのだ。そして、次女は毎年旦那の命日にパーティを開き、犯罪の専門家、ミステリー作家、退職した刑事さんなどを招待して、旦那の死について考えてもらっているが、未だに謎のままになっているとのことだ。栗原警視がこの事件の担当で、このパーティーにも出ていたらしいのであるが、片山刑事に押し付けたのだ。しかたなく、いつものメンバー(片山刑事、晴美、石津刑事、三毛猫ホームズ)で、このパーティーに出るのであるが、果たして、箱殺人事件を解決できるのでしょうか?できるよね、きっと?? いやー、久々ですが、みんな元気でいつもの通りでした。安心しました。
『シリーズ登場人物』

◆三毛猫ホームズの名演奏
第二話は、本格的なデビューを控えたオーケストラの指揮者の話だ。このデビューで振るオーケストラは、なんと日本のオーケストラとして超一流のS響なのだ。S響は、プライドが高く、若い指揮者が来ると、タクトを無視して演奏するか、リハーサルに団員が半分も来ないとか--要するに「意地悪」をするのだと聞いていたが、リハーサル開始五分前に全員ピタリと揃うし、新人指揮者の指示には一言の文句も言わずについてくるのだ。ただし、リハーサルを行っているのであるが、なんとなくおかしいのだ。しかし、いったいどこがおかしいのかわからない。別に誰もミスしていないし、アンサンブルも乱れていない、音程も外れていない。それでいて、どこかおかしいのだ。リハーサルが終わり、オーケストラの面々は、新人指揮者がいなくなると、少し間を置いて、みんな顔を見合わせ、そして、含み笑いをしたのだ。やばい、何か意地悪を仕掛けているのだ。そして、新人指揮者のデビューコンサートに、お約束通り三毛猫ホームズ一行が、招待される。三毛猫ホームズ一行が、開演前の食事をしていると、新人指揮者の奥さんとコンサートマスターが、二人で怪しげな会話をしているのを見かける。奥さんを呼んで話を聞くと「今夜、付き合ってくれ、それをいやだと言うのなら、君の亭主は指揮棒を折ることになるよ」と脅されたと言うのだ。不安を抱えながらもコンサートが始まった。前半のプログラムは、拍手が湧いて終わった。何事も起こらなかった。そして休憩で事件が起きた。指揮者の控え室で、団員が一人死んでいたのだ。そして、テーブルに「キ」のダイニングメッセージが書かれていた。この急展開に、三毛猫ホームズ一行どうする?どういうわけか、このコンサートに南田検視官が来ていたのだ。なるほどね!?

◆三毛猫ホームズのパニック
第三話は、欠陥ビルの話しだ。都会東京の一角に八階立てのビルが完成した。このビルの完成パーティに三毛猫ホームズ一行が招待された。今回は警視庁捜査一課長の栗原警視も一緒だ。立食パーティなので、石津刑事は無茶苦茶張り切っている。ビルに入ろうとして、片山刑事がつまずいて転んだ。後から来た栗原警視もつまずいて転んだ。ビルの入り口に、二センチほどの段差があるのだ。その段差を見て「おかしいな」とつぶやいた青年がいた。青年は、このビルの当初の設計者で、安全基準に厳しいが、ケチなオーナー社長はとぶつかり、解任されてしまったとのことだ。そして、後任になった新設計者が、オーナー社長の言いなりになり、手抜き工事を行ったらしいのだ。そして、二百人規模のパーティが始まった。元設計者は、パーティそっちのけで、エレベーターで上ったり下ったりしている。上ったり下ったりの途中で、キーキー音がするのだ。そして、ビルの入口の段差を見に行くと、なんと段差が大きくなっているのだ。地盤沈下が進んでいるのだ。そして、お約束通り地震が発生し、ビルが傾き始めた。一巻の終わりーと思いきや、凄い振動とともに、傾きは止まった。横に倒れたので、隣のビルにもたれかかって、止まったのだ。助かったと言っても、ガラスの破片やあちこちの角に頭をぶつけたりとして、かなりのけが人が出た。救助活動が始まったのであるが、背中にナイフが刺さったオーナー社長の死体が見つかるのだ。一体どういうことなのか?三毛猫ホームズさん?? いやーしかし、ビル倒壊恐ろしい!1995年の阪神・淡路大震災を思い出しますが、本作は、それよりも前に書かれていますね。

◆三毛猫ホームズの幽霊退治
第四話は、題名通り、幽霊退治の話しだ。なんと石津刑事に、東大出の理論物理学者の友達がいたのだ。えーー信じられない。その友達が、恩師の娘と結婚することになり、郊外にある恩師の古い屋敷をもらって住むことになったのであるが、なんとその屋敷に幽霊が出るとのことで、その友達が、石津に助けを求めたのだ。いつもの通り、三毛猫ホームズ一行が、車で屋敷に向かっていて、片山刑事は「インチキに決まっているさ、そんなもの」などと言っているが、外は冷たい雨で、雷鳴が轟き、雰囲気が怪談めいてきているのだ。そして、白い閃光に、いかにも古びた洋館が浮かび上がった。屋敷に到着したのだ。友達夫婦の話しだと、夜中の一時になると、壁にかけられた大きな鏡に、若い男女の姿が浮かび上がるとのことであった。まだ二時間もあると、居間でくつろいでいると、鏡のわきに少し離れて置かれている大きな時計が、ボーンと一つ打った。「十一時か」と石津が呟くように言い、時計が二つ目を打つと同時に、居間の明かりが消えた。そして、鏡が白く光った、と思うと、そこに二つの人影が浮かび上がったのだ。出たーー!うん?今日はフライングか?まだ十一時なのにどうしたことか? 調べると、壁に固定されているように見える鏡が、ドアのように開くことが分かった。もちろん、三毛猫ホームズの発見だ。鏡を開けてみると、鏡はマジックミラーで、明かりを付けると、居間から中がぼんやり見えるのだ。幽霊の種明かし完了って、ちょっと待て、それより鏡の裏のスペースで、刺殺されたらしい、若い男の死体があったのだ。幽霊退治から殺人事件に話しが移った。まあ、いつもの展開か? すると、玄関のチャイムが鳴った。こんな時間に、幽霊か? さてどうなるのでしょうか??

◆三毛猫ホームズの披露宴
第五話は、外資系企業で課長をやっている片山刑事の友達の結婚式の話しだ。披露宴前に片山刑事と晴美が、ラウンジでコーヒーをすすっていると、片山刑事が友達に呼び出された。「そのうち、誰かに殺されるぜ」との声が晴美の耳に届いた。どうやら片山の友達の披露宴に出る男二人が話をしている。「いくら成績がいいかもしれんが、あの若さで十歳も二十歳も年上の先輩をこき使っているんだからな」「しかも、みんなの目の前で叱りとばすって話しだぜ。まったく哀れなもんだ」「自分か蹴落とした、前の課長を呼んでスピーチさせるなんて!」・・・ 片山刑事の方は、友達から「結婚はやめろ」との脅迫状が来ていて、披露宴で何か起きそうなので、片山刑事を呼んだことを明かされる。どうも結婚する花嫁は、親の遺産を継いでいて、親戚たちがその遺産を狙っているらしい。また、友達の上層部への密告で格下げられたとされている前課長も、友達を恨んでいるとのことだ。その課長が、披露宴でスピーチをやらせてくれと言ってきたらしい。やばいをその前課長、何かをやらかすに決まっている。そして披露宴が始まり、遺産を狙っている新婦の叔父のスピーチの番が来て、支離滅裂な話をくどくど続け、マイクを振り回し始めた。酔っぱらっているのだ。やばかったが、ここは、ホテルの係の人がうまく収めた。その後、なんだーかんだーがあって、お色直しの時に新婦が、刺殺されてしまう。おいおい片山刑事何をやっているのだ。やっぱり、蹴落とされた前課長の仕業か?って、お楽しみ。

◆三毛猫ホームズの宝さがし
第六話は、三日間何も食べずに死にそうになった男の話だ。片山刑事と石津刑事がレストランで、晴美を待っていると、向かいの席に、四十前後か、一応、サラリーマン風のスタイル、そして、くたびれてはいても、そう薄汚れた感じない男がドサッと座った。男は「腹が・・・」「減って・・・」と続けた。片山刑事が、カレーを頼んであげると、石津刑事より凄い勢いで平らげたのだ。二杯目のカレーを平らげると、男は何とか少し落ち着いて話始めた。道で名前を呼ばれて「宝の地図を差し上げる」と怪しげな男に声をかけられた。どうも、実家の古い土蔵から、子孫のために小判などの財宝を埋めた地図が見つかったとのことだ。あやしい、そもそもそんな話をどうして自分にいうのか聞くと。そのお宝は、ちょうど男の家が建っているところに埋まっているとのことだ。さらに、怪しげな男は、「私は殺されるかもしれない」と言い残したのだ。男は、それっきりそんなことは忘れるつもりでいたのだが、なんと翌日その怪しげな男が、殺されてしまったのだ。さらに、家の前で水道管の工事があり、掘られた土の中から小判のかけらみたいなものが出てきて、男は、宝の地図を信じてしまったらしいのだ。そして、庭の穴掘りが始まった。初めは会社から帰って、夜掘っていたが、そのうち会社を休んで掘るようになった。近所に知れ渡り、妻から止めてくれと言われたが、そういわれると意地になるのだ。気持ちわかります。何とか宝を見つけて見返してやろうになるんですよね。しかし、会社はクビになり、貯金も底をつき、妻と子供は、出て行ってしまったのだ。これも分かります。当たり前だよね。さて、この後どんな展開になるのでしょうか??

コメント