悪魔のような女(角川書店)

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◆暴力教室
いつの時代も、いじめってありますよね。私が子どもの時にも、いじめはあったが、いじめられる子を助ける子もいました。今は、いじめられる子を助けると、助けた子がまた、いじめの対象となるので、みんな助けずに、見て見ぬふりをしたり、さらには、いじめる側に立ったりするらしいです。むかしは、いわゆる「ガキ大将」がいました。そのガキ大将が、いじめられる子を助けていました。ガキ大将は、強過ぎるので、いじめの対象にはなりません。それなりに、うまく回ってました。本作も、クラス全員で、一人の子をいじめて、自殺に追い込みます。クラスの担任が、真相究明に動くのですが、学校側が、学校の面子を気にして、まともに動いてくれないのだ。ちょうど今、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」というTVドラマをやってましたが、先生は、あそこまで頑張らないと駄目なのかなって、つくづく思います。学校の先生は、本当に大変なのである。

◆召使
「私、こちらに召使として参ったのですが、使っていただけますでしょうか?」と、男が公団住宅の一室を訪ねてきた。掃除、洗濯、買物、料理など一切の家事を、無償で行うというのだ。いやーありがたい。私も、定年退職したので、洗濯と風呂掃除の担当になった。こんな召使がいたら、ぜひお願いしたいところだ。この家も、半信半疑ながら、お試しとして使うのだが、何をやらせても一流で、仕事をこなしてしまうのだ。ここで気を付けなければならなのが、彼は、家政婦ではない、召使なのである。家事だけでなく、命令したことは、なんでも行ってしまうのだ。家事に留めていればよいのに、人間は欲が出てしまう。命令が、どんどんエスカレートしていくのだ。いやだね。

◆野菊の如き君なりき
いやーいい話でした。感動しました。若くして地方の旧家の当主になった男の話である。この当主の幼馴染の男が、旧家の屋敷を訪ねることで事件が発生する。当主の奥さんは、当主の幼馴染が夫婦約束をしていた女性で、どうもこの当主が、幼馴染が死んだとウソをついて、騙してこの女性と結婚したらしい。そこへ、死んだはずの幼馴染が、訪ねて来たのだから、大騒ぎになる。どうなることかと思いきや、殺人事件が発生し、県警から派遣された刑事の機転で、感動のハッピーエンドとなる。赤川次郎としては珍しく、切れた刑事が登場したのだ。

◆悪魔のような女
奥さんに頭が上がらない亭主って、気持ちはどうなんだろう。私は、多少なりとも頭が上がるので、良くわかりませんが。今回は、奥さんが、私立の女学校の理事長兼校長で、旦那が、名ばかりの事務長の夫婦の話だ。そんな旦那に、奥さんを殺害する計画が持ち込まれ、その計画を承諾してしまうのだ。奥さんに頭が上がらないというものは、殺してしまうほど憎いものなんですかね? 計画は順調に進むのであるが、死んだはずの奥さんから、こと付けやはがきが届くのだ。どういうこのなのか? 夫婦って、互いに相手のことが、分かってるようで、分かっていない、という話である。私も考え直されました。

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